ポンペイの壁画展


きのうあたりから朝夕は秋、日中は夏でからっとした暑さ。典型的な晩夏から初秋にかけての天気だ。こんな天気も手伝ってきのう名古屋市博物館の「ポンペイの壁画展」に行った。3年前にそのポンペイの遺跡を訪れ感動したので、そこで発掘された壁画だけを集めた展覧会なら・・・と出かけた。


平日にかかわらずけっこう人が多い。200人は入れる講堂で学芸員からの事前解説がある。満員で1時間位立ったまま聴いた。事前に解説を聴いておけばイヤホンガイドを借りる必要もない。平日にかぎり、60数点の展示品のうち2割くらいはカメラOKとなっているのもうれしい。


学芸員の解説ではポンペイの遺跡には現在壁画はひとつもないとのことだった。どうも腑に落ちない。3年前に行ったとき、秘儀荘といわれる邸宅にポンペイレッドといわれる独特の赤色を施した壁画が何枚もあった。きょう、博物館のその学芸員に電話して「わしは、秘儀荘の写真をもっているが、ここの壁画は取るに足らないレベルの低いものだからひとつもないと解説されたのか、どうしたもんじゃろのぉ」と。


彼、いわく「自分の云い方が悪かった。秘儀荘の壁画はポンペイ遺跡の壁画としては門外不出の一級品。あるのはこれだけだから、ほとんどないと云ったつもり。確かに今回の展示品よりレベルが高い。展示品はナポリの博物館やポンペイの収蔵庫からの借り物ばかり。」溜飲を下げたクマさん、「ポンペイの壁画展」では見られない一級品の壁画の写真を冒頭に持ってきた。



ポンペイはイタリア南部にあって古代ローマ人の余暇地であり港湾都市でもあり主産業はワインの醸造で栄えていた。西暦79年ベスビオ火山の爆発で都市まるごと飲み込まれてしまった。この火山灰が乾燥剤の役割をして壁画や美術品の劣化を食い止めたといわれる。



今回の展覧会では、ポンペイ出土の壁画を中心に取り上げ、古代ローマの絵画によって多方面に渡る分野での関心事に満足を与えてくれるのではないだろうか。絵画の技法、顔料といった美術史。描かれた対象から建築技法や建築史、考古学、民俗学、宗教史、宗教学、などの面から人生を謳歌した古代ローマ人の美意識、生活様式が見えてくる。


美術、建築などの側面は門外漢であまり関心がなく、ポンペイレッドや、エジプトブルーが美しいなぁの程度だ。カメラ不可だったが、居酒屋のメニュー「お客様へ、私どもは台所に鶏肉、魚、豚、孔雀などを用意してあります。」だとか選挙広告の書かれた壁面など日常生活に根差したもの関心がいった。


ポンペイの遺跡を見学した時の現地ガイドさんが云っていた。「ポンペイの壁画で一番有名で数も多いのは男女の交わりの絵だが今、この遺跡の中にはもうありません」今回の壁画展にも来ていなかった。