「暮らしの手帖」商品テスト2


9月も月半ばというのに、相次ぐ台風と秋雨前線の居座りで、なかなか「天高く馬肥える秋」なんていう秋が実感できない。きょうも、雲が広がり薄日が差しウォーキングの後には汗びっしょりの夏日だ。いや、真夏日だったかもしれない。


きょうの朝の連ドラ「とと姉ちゃん」、洗濯機の公開商品テストのシーンで放送時間の15分が終始した。「暮らしの手帖」のバックナンバー、昭和40年(1965)79号に脱水機付洗濯機の商品テストが掲載されていた。ドラマの方は昭和30年代半ばで、洗濯機がこの世に登場した頃のことで手回しの絞り機がついていた。雑誌の商品テストは手回しの絞り機が進化した、脱水機付洗濯機なのだ。


昭和40年(1965)といえば、クマさん社会人2年目。東京五輪の翌年で、社会はいざなぎ景気。3C(車、カラーテレビ、クーラー)が憧れの商品だった。パンティーストッキング、アイビースタイルが流行ったのもこの頃だ。



脱水機付洗濯機の商品テストは9機種の洗濯力、排水力、絞る力など扇風機同様多岐にわたって行われた。機種別の結果の講評の一例。日立《汚れを落とす力は9種のうち一番、脱水力もよい、脱水機のフタ関係の工夫は親切、使い勝手も一番簡単。しかし、タイマーやダイヤルの位置や表示がまずいし、洗っている時水がやたらにはねかえるのは困る。》


サンヨー《汚れを落とす力も脱水力もまあまあ。9種のうちでは、とりわけすぐれている点もないかわりに困るという点もほかの機種ほどない。まず無難なほう。》



総体的な講評では右の写真にあるとおり、「使いやすいのは日立、使いにくいのは東芝」とズバリ直言している。また、「A級はなし、B級 日立、サンヨー、三菱」「あわてて買いかえるほどのものでもない」。メーカーを小バカにしたような物言いだ。


1970年代の初め、昭和45.6年に「となりの車が小さく見えます」こんなコマーシャルがあった。日産サニーがデビューしたとき、ライバルのトヨタカローラを意識したCMで話題を呼んだ。当時日本では相手を名指しして自社の優位性を誇示するようなことは誹謗のおそれがあることから避けられていた。


ライバル車を直接名指ししたわけでもないのに、あれだけ画期的な広告と話題を呼んだCMだった。それより、数年前に第三者である「暮らしの手帖」が誹謗のそしりをまぬかれない商品テストの結果を衆目に晒すことが、どれだけ覚悟のいることで画期的なことであったか改めて認識した。