伊勢湾台風から57年


9月もきょうから最終週。この一月天が高いと感じるような秋の空が幾日あっただろう?台風16号が去った後のきのうの空はそんな中の一日だった。日中は爽やかな青空が広がっていたが、日没近い時間には西の空は黒い雲に覆われ、太陽は黒い雲の中に吸い込まれていった。雲と雲のわずかな隙間から漏れる日差しが天上の青空に差し込みうろこ雲を際立たせている。


地上ではススキがパンパスグラスが風に揺れて秋の演出に一役を買って出ている。逃げ足の早い秋の日。黄昏間近の丘陵地をゆっくり歩いてのウォーキング。名も知らない小さな花がある。聞き分けられないが虫の音がにぎやかだ。秋と一緒にいることを実感。



あの伊勢湾台風から57年になる。昭和34年9月26日。高校3年生だった。内陸部の多治見は幸い大きな被害はなかった。自分にとって青春時代の思い出の一ページであったが、半世紀以上も月日を経た今では歴史上の出来事になった感がある。人が33回忌、50回忌を過ぎると忘れ去られるように、伊勢湾台風も、もう忘れ去られた感がする。


「天災は忘れたころにやってくる。」とは夏目漱石の弟子である科学者寺田寅彦の言葉である。スピードが要求される現代では、天災も忘れられる前に次から次へとやってくる。今年に入ってからでも、地震、豪雨、など次から次へと災害が起きている。寺田寅彦の有名なこの言葉も死語になりつつあるのではとさえ思いたくなる。


われわれは、「災害列島に住んでいる」「いつ自分が災害の被害者になってもおかしくない。」ことを肝に銘ずべしだ。それと同時に我が人生で身をもって体験した最大の災害の記念日でもある。こんなことを改めて考えた9月26日。

※あす27日から29日、地域老人会の旅行のため日記はお休み。