デトロイト美術展にみる米国の底力


10月第2月曜ハッピーマンデーの体育の日。珍しく10月10日にはまった。ハッピーマンデーの制度ができて初めてでないだろうか。去年の体育の日は12日、来年は9日、再来年は8日だ。おじさんの年代は体育の日といえば52年前の10月10日の東京五輪開会式の日とどうしても結びついてしまう。体育の日は晴れの特異日でもあり、東京五輪の記念日である10月10日にかぎるよなぁ。


特異日はうそをつかない。ちゃんと秋晴れだ。誕生日の花は特異日と違ってときどきラジオ深夜便の伝えるのと実際に咲いている時期のズレが1ヶ月ほどある場合がある。きょう10日の誕生日の花はサラシナショウマ。写真は4年前の9月1日に伊吹山で撮ったものだ。山の斜面一面に咲いている光景は壮観だ。


いま、ウチの敷地と歩道との境界線上で一斉に咲いているのがタマスダレ。深夜便の誕生日の花では9月8日だった。異常気象の上にバイオ技術の進歩で促成、抑制栽培がどうにでもなる時勢だ。1ヶ月くらいの差にいちいち目くじらを立てる方がおかしいだろう。


今年の4月から6月まで米デトロイト市と豊田市姉妹都市提携55周年記念と豊田市美術館開館20周年記念を兼ねて同美術館でデトロイト美術館展が開かれ盛況だった。自分も行った。7−9月が大阪、10−来年1月が東京で、今東京で開催中だ。


かつての新幹線の停車駅から、いまの一流アーチストの全国ツアーにいたるまで「名古屋飛ばし」は珍しいことではない。この展覧会にかぎって、デトロイト・豊田の姉妹都市の関係でこの地が東京・大阪に先立って開かれるとは気分がいいものだ。喜んでいるのも束の間。東京展がはじまると、名古屋は文化の乏しい”偉大なる田舎”を痛感した。
                                            



東京展は主催にテレビのキー局と全国紙の新聞が入っている関係でこの展覧会にまつわる情報がコラム欄で取り上げられたり、9月発刊の「デトロイト美術館の奇跡」(新潮社刊)の小説が紹介されたりしている。豊田展開催中に地元紙でも色々な情報が出されながら自分が気がつかなかったかもしれない。財政破たんした都市がよくもまあこれだけのコレクションを処分せずにもっていたものだと感心していた。


そのノンフィクション小説の紹介記事によると市民運動によってコレクションを処分することを免れたようだ。

デトロイトはかつては「自動車の街」として、米国の繁栄を象徴するような都市だった。衰退の背景には、日本車の攻勢や、人件費の高騰に伴う業界のデトロイト離れがある。人口が激減し、治安の悪化も目に余った。そこで注目されたのが、1885年に創設された美術館である。


全米屈指のコレクションを売却すれば、負債を減らし、市民を困窮から救えるはずだ。しかし、市は別の再生の道を選んだ。デトロイトに、何が起きたのか。作家の原田マハさんが現地で取材して、『デトロイト美術館の奇跡』(新潮社)という小説に仕立てた。年金生活の元自動車工から大富豪まで、美術を愛する市民一人一人が立ち上がった結果らしい。改めて米国の底力を見た。>


それにしては、大統領選の討論会での両候補の非難合戦。なんとレベルの低いことか。米国の底力も地に落ちた。