思いでつくりの旅


きょうも終日の曇り空。暑からず、寒からずで過ごしやすい一日だった。来週水曜から北海道旅行に行くため、来週1週間の日記は休みとした。そのため、昨日今日の土日の日記をアップする次第。サンデー毎日といえども、月末はボランティアでやっているグループの仕事が集中するのでその処理のために2日くらいは余裕がいるわけだ。


今回の北海道旅行は麻雀仲間の御近所さん3人で道東方面を4日間かけてまわる。われわれの旅行は、所詮遊び。気の合った仲間でわいわいやりながら非日常を体験して来るのが一番だと思う。自分の経験からすると、ツアーに一人だけで参加しても、何年か後まで印象に残っていることが非常に少ないのだ。



中国の兵馬俑は5年前の秋にツアーにひとりで参加した。今まで見た世界遺産でもその凄さに圧倒されることは3本の指に入るほどのものだった。兵馬俑そのものは強烈な印象が残っているが、どんなホテルに泊まったか、セントレアから直行便はないから、どこ経由でいったか、ほかにどんな所を観光したかまったく記憶がないのだ。


旅の思い出は、一緒した者を介して色々な記憶が残って行くが、1人参加ではそれが少ないのだ。記憶が蘇らないのでクマさんの日記を引っ張り出した。2011年11月4日から7日にかけて記述があった。なかでも6日のカキコは読み返してみて、へぇ〜こんなことがあったのかと驚くようなことがもっとも多かった。




2011年11月6日 「安かろう、悪かろう」

「安かろう、悪かろう」よく言ったものだ。今回の旅行は、まさにその通りだった。「5つ星ホテルに泊まる西安」のふれこみにつられて行ってみればさんざんの目だった。ホテルは確かに5つ星、まちがいなかった。旅費全体を低く抑えるために、搭乗率の悪い時間帯の航空便になる。セントレアを夕方に出て、西安のホテルに入ったのは午前1時過ぎ。帰国の便は西安発朝8時。ホテル出発は5時半。安いツアーだから、これくらいは我慢しよう。


安いツアーおなじみの”義理ショッピング”。行く前からある程度はわかっていたが、これにはうんざりした。工芸品店、じゅうたん店、寝具店。北京でも上海でも桂林でも連れて行かれた国家が関与する工芸品の展示場でのショッピングは催眠商法そのものだ。その他の店でも半ば監禁状態で誰かが買わなければ解放されない。そんな気になる。33人のツアーだからひとりやふたり犠牲になってくれる人がいて助かった。昼食や夕食のレストランでも客がテーブルを囲んで談笑してようが構わず土産をしつこく売りに来る。酒の勢いで気前よく買ってきたことはいいが、賞味期限切れで恥をかいた。




有名なお寺までがえげつない商売をやっているのには驚いた。西遊記でおなじみの三蔵法師がインドから持ってきた経典を翻訳して収めた大雁塔(だいがんとう)のある慈恩寺を見学したら特別な部屋に入れられた。中国書道界の重鎮のこの寺の管長増勤和尚の書かれた書を見せられ「一期一会」「日々是好日」それぞれ4万5千円。「福」「夢」それぞれ5万円。表装、送料込。部屋の外までもしつこく付きまとわれてうんざりしていた人が何人もいた。ネットで検索したらこの寺が増勤和尚の「一期一会」を7万円で売っていた。




「格安ツアー」は「安かろう、悪かろう」とここまでは仕方ないと割り切れる段階まではいい。それを越すとしっぺ返しを食うのは結局自分だ。元受会社の営業政策で下請けを締め付けるから、下請けは2次下請けである”義理ショッピング”の店やレストランで帳尻合わせをせざるをえない。店やレストランは客に買ってもらって帳尻合わせをせざるをえない。しつこくなる。時間がかかる。客はせっかくの観光場所の見学時間が短くなる。現に南の城門の見学は真っ暗になってからになった。書院門の古文化街で書道の筆や墨を買う予定だったが時間がなく、あきらめた。安いものに飛びついたしっぺ返しは痛かった。


5年経ったら以上のような思い出も、すっかり忘れている。1人参加だったからだろう。今回の旅行から何を得て、それを人生にどう生かすかなんていう大義があるでなし。つれあいから一緒に旅するのを嫌がられた60代、70代、80代の3人が、いつまでも記憶に残る思いでつくりに行ってみようといったところかな。