大卒タクシードライバーが増えている


来週の月曜7日は「立冬」。暦の上では今年の秋もいよいよ終幕だ。現実には、ナンキンハゼこそ色づいて来たが楓の紅葉は、その気配すら感じられない。まだ、ストーブのスイッチすら入れたことがない。楓の紅葉は待たれるが、寒さは御免だ。勝手なもんだ。穏やかな秋の一日だった。


2週間ほど前の日経電子版の記事。タイトルは「新卒が続々とタクシー乗務員を仕事に選ぶ理由 国際自動車 大卒を大量採用」。先駆的な企業はここまで来たかと、感慨ひとしおの思いでいっきに読んだ。



東京のタクシー大手の国際自動車では、2012年は10人だった大卒タクシードライバーを2015年には109人、来年は180人にまで増やすという。新たな潮流だ。なぜ、タクシードライバーなのか大卒の若手社員たちにインタビューしていた。意見を集約してみると次のようだ。


第1には休暇が多いのが魅力。勤務パターンは選択制。夜勤(16時〜翌10時)だと月11日勤務。3連休が月2回ある月もある。残業なし。第2は「同級生の倍」給与文句なし。年収400万台は余裕。600〜700万台も可。こうした労働条件が若者にとって魅力のようだ。



同社が大卒ドライバーを採用する目的は、やる気のある若い世代の熱気で現場の士気をあげることと、将来の管理職候補を育てることにあるようだ。タクシードライバーという仕事に偏見があることを知り、自分たちの手で業界を変えたいという意欲を持った者が多数いるという。


「待遇の良さ」「人間関係」「業界を自分の手で変えられるというやりがい」が偏見のない若い世代の「プロ意識」を育てる。会社も彼らに期待を寄せている。




鉄道会社に入ったものの40年のサラリーマン人生の8割方をタクシーの世界で飯を食った。この業界では、偏見をなくすことが永遠のテーマでさえあった。自分も二種免許を取ってドライバーも経験した。職名を運転手でなく営業係とするなど先輩方も苦労され、それを引き継いだ。


いまさら、苦労話など思い出したくない。永遠のテーマと云われた課題がここまできたかと感慨ひとしおだ。この業界も、ウーバー(スマホを活用した配車サービス。自家用車の運転手と客が自動車をシェア(共有)する名目で配車する「ライドシェア」)や自動運転車など競合サービスが次々に登場し始めている。