いいトイレの日


この週末も小春日和の穏やかな日ばかりが続いたが週明けのきょうはお昼頃からしとしと雨。こんな日は日暮れも早く、4時頃からもう薄暗い。そぞろ寒さのなか、晩秋から初冬への季節の移ろいが身にしみる。


上の写真はおととい12日のウチから望む四つ池西岸。この時期ケヤキやコナラが褐色に葉が変色するが、やっとほんのりと黄色を帯びた色に変わり始めた。おとといまでそんな状態のうえ、何十年ぶりかのスーパームーンとやらも雨空では叶わず余計そぞろ寒さを感じる今宵だ。



11月10日は「いいトイレの日」だった。歴史を遡って考えてみると日本のトイレほど合理的なものはないだろう。川の上に板などで張り出しを設け、そこに穴を開けて用を足していた。いわゆる”かわや”だ。欧州ではどうだ。ベルサイユ宮殿に行ったときに聞いたが中世欧州では”おまる”のようなものに用を足し庭に捨てていたというのではないか。あの宮殿に幻滅を感じたものだ。市街地でも窓からポイ捨てをしていたようで、降りかかって来るのを防ぐためにマントや山高帽ができたらしい。


トイレのルーツ”かわや”にしても現在の洗浄便座トイレにしても日本のトイレは世界に冠たるものだ。欧州でも中国でも我々庶民の利用するホテルしろレストランしろ洗浄便座トイレにお目にかかることはまずない。まさに、日本はいいトイレだ。


昨年秋、オランダ、ベルギーのツアーに参加した。アムステルダムのガイドさんがこんな話ををしてくれた。アムステルダムスキポール空港の、男子トイレの小便器にハエの絵を描いたところ、トイレの汚れがかなり減ったそうでそれまで年間7億円かかっていた清掃費が20%(1億4千万)削減されたということだった。
                 

このハエを見ると、ほとんどの男性がこのハエをめがけて小水をかけようとする。便器の真ん中にハエがあることで小水をそこに誘導し、飛び散りを最小限にしてトイレの清掃コストを下げるための工夫だということだ。ならばと、同空港でオランダのハエに日本の美味しい水を飲ませてやった。




また、同空港には女性用の”立ちション便器”があるそうだ。後ろ向きの中腰で使用するイラストの解説までついているそうだ。好奇心旺盛なクマさん、男子トイレは試射してこのような写真も撮って来たが、さすがに女性用の便器の見物までは遠慮した。


個人の家にしろ人々が集まる施設にしても、玄関が表の顔ならトイレは裏の顔といえよう。トイレを見れば、客商売をしている所ならもてなす側の心配りの隅々まで見えてしまう。会社なら経営者の姿勢や業績までもが見えてくる。個人宅なら料理もさることながら、女房の資質が一番問われる場所ではないだろうか。たかがトイレ、されどトイレ、侮ることなかれ、トイレは何でも知っている。