高速バスとローカル鉄道で那谷寺へ


那谷寺本殿より楓月橋を望む ’09.11.16


真冬の天気では日本海側で雪が降っている時に太平洋側ではカラカラ天気。こんなことは珍しい事ではない。晩秋から初冬へ向かっているこの時節に家をでるときは雨ざあざあ。東京では11月に雪が降ったと大騒ぎしていたあの日のことだ。日本海側の福井に着いたら青空だ。長い月日の間には、こんな逆転現象もあるものだ。


青空のはずの福井の駅前の道路はどこもここも路面が濡れている。よく見て合点。融雪装置の点検だ。やがて来る雪の季節に備えての準備なのだ。北国ならではの冬の風物詩だ。白山連峰の山々を挟んだわずか200kmほど離れただけでこんなにも違う季節感。こうした気候の動きにつれて生まれる花鳥風月の微妙な変化に日本人の繊細な季節感が育まれて来たのではないだろうか。


那谷寺鎮守堂 ’09.11.16


入社早々の10年間出向先の金沢の会社のOB会。現役時代から何年も続いている。今年も出席。ビジネスマンでもないクマさん。特急しらさぎで往復するだけではもったいない。去年は北陸新幹線金沢開業。たとえ一駅でも乗ってやろうと、名古屋から高岡までバスで行き、そこから一駅だけ北陸新幹線に乗って金沢まで行った。


今年は7年前車で往復したとき立ち寄った小松市の那谷寺の紅葉が美しかったので、久しぶりに行くことにした。カネはないがヒマはいくらでもあるので、高速バスとローカル列車の旅とした。名古屋から福井まで高速バス。2時間50分。福井から加賀温泉まで北陸線ローカル30分。加賀温泉から何回でも乗り降り自由の周遊バスで那谷寺まで30分。


7年前は今年より約1週間早かった上、今年は例年になく紅葉が早かったそうで、残念ながら盛りを過ぎていた。おかげで、静寂に包まれた境内をゆっくり散策できた。7年前とほゞ同じアングルでの写真があった。1週間でこんなにも差があった。


那谷寺奇岩遊仙境 ’09.11.16


金沢時代の一時期小松市に住んだ。建設機械のコマツの発祥の地であり、勧進帳でお馴染みの安宅の関跡とこの那谷寺がこの小松が誇る名所だ。それだけに那谷寺に思い入れもある。去年「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で一つ星に認定されたことは喜ばしいことだ。


来年2017年には開創1300年を迎える真言宗名刹だ。広い境内は奇岩遊仙境といわれ、重要文化財が点在する。特に紅葉時にはモミジ、カエデが赤々と色づき、白い奇岩遊仙境の岩肌に映える様は山水画のような美しい景色だ。信仰心あってお参りに来たわけでもないクマさんには紅葉の景色があっての那谷寺だ。がっかり感も隠せない。7年前の写真で思い出に浸ろう。