日ロ首脳会談に思う


木枯し吹く週末土曜だったが、日曜と週明けのきょうは小春日和が続く。先週の後半はプーチン台風が日本中を駆け抜けた。予報官泣かせの台風だった。予報より上陸が2時間半も遅れ、駆け抜けた時間は予報より早目とは・・・。礼に始まり礼で終わる柔道の八段の資格を持つ男ならもう少し礼をわきまえたらどうだろう。


さて、肝心の日露首脳会談だが、その成果に対する見方が新聞各紙によって大きく異なる。熊さん、八っあんはどの見方が正しいものか迷ってしまう。「外交的勝利 露満足感」と毎日新聞のような自虐的評価もあれば、「領土解決へ重要な発射台」と読売新聞のような常識的な評価もある。




産経は「引き分けより後退か 険しく遠い四島返還」朝日は「共同経済活動 協議入り合意 領土交渉進展なし」。中日は「会談 日本完敗」の見出しで北大名誉教授の談話を大きく扱っていた。その中で「首脳間の信頼関係の存在だけにすがる日本側を子供のように翻弄した」とこんな評価までしていた。


これだけ評価が分かれるほど外交交渉とは奥が深いものであることを物語っているのではないだろうか。会談後の記者会見の内容を「虫眼鏡」で見るのと「望遠鏡」で見るのでは評価が分かれて当然だろう。やはり、遠近両用眼鏡で見て、短期的な評価と中長期的評価、総合的にどうだ。そう見るべきでないだろうか。                    



また、記事を書く記者の「発表内容」の裏を読み解く経験・能力の差が出るところでないだろうか。「日本に領土を返す。その代り経済で見返りを・・・」などとプーチンがはっきり云うはずがない。記者会見の内容から暗にほのめかしているところを記者が読み解く技量にかかっていると思う。


北方領土問題が出るたびに思っていたことだが、自分の勉強不足でいまだに疑問が解けていない点がある。プーチン台風でまた思い出した。戦後、1972年米国が占領地沖縄を日本に返還したときと1991年のソ連崩壊のときの2度、北方領土を返還交渉するチャンスがあったはずだ。


ただ、この二つの機会、戦勝国間のヤルタ協定が絡んでくるので、この協定が有効か,無効かの問題に及んで熊さん八っあんの関知できる領域でないことは事実だ。それにしても、大きなチャンスを逃していたような気がしてならない。