グッバイ・ウェーブ

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冷たい北風、厳しい寒さのの一日だった。

去年10月に北海道旅行したときのことだ。新千歳空港の到着ゲートを出たところで、男女数人の係員が横並びで立っているのだ。そして、預けた手荷物についている荷物タグを笑顔ではずすのを手伝い、ごみとして処分してくれるのだ。

                                                   
エアラインが自社の乗客に対してやっているのか、ターミナルビルの会社の利用者に対してのサービスか確かめなかったが、これが北海道の「おもてなし」かと感心した。きっと、従業員の提案ではじめたことだろう。



元ANAの客室乗務員(CA)の方の講演会で聞いた話の受け売りだが、40年以上前に沖縄那覇空港からはじまった「グッバイ・ウエーブ」を思い出した。それというのは飛行機が離陸する時、整備士が操縦席の機長に敬礼をして、「いってらっしゃい。気をつけて」と飛行機に手を振る仕草のことだそうだ。
                 

このグッバイ・ウエーブはANAの沖縄空港支店の一人の整備士が「機内のお客さんが手を振り返してくれると、嬉しい。自分達が整備した飛行機に乗っているお客さんに手を振ってもらえるなんて、幸せのことだ。」ということで個人的に始めたことだそうだ。


やがて、その輪は沖縄空港支店だけでなく、全国すべてのANAに広がり、そして他の航空会社の整備士さんたちも行なうようになり、世界中の空港で当たり前の光景となったという。これは、マニュアルではなくお客様を思う一整備士の気持ちから生まれたことで先輩から後輩に引き継がれている。とのことだ。



いま、労働人口が減少して行く中、長時間労働・残業などの慣習を見直す意味で働き方改革が官民で取り組まれている。こうした取り組みがとかく「権利」「義務」ばかり強調されることに危惧を抱く。             


仕事に誇りを持つことが生きがいになりそれが先輩から後輩へ引き継がれる。この日本的な”労働観”こそ日本の強みであり、絶対失われてはならないものだと思う。その延長線上に日本の航空機や新幹線の安全神話日本製品の品質の良さがあるのではないだろうか。