官僚の天下りに思う


朝は冷え込んだが、日中は寒さが緩んだ。

現役時代、60数人の同期入社者でグループ会社の本体に入社から定年まで務めた者はひとりもいない。時期の差こそあれ多い時は300数10社あった関連会社に出ているのだ。これが、官僚組織になるとその組織のトップである事務次官になるものは同期入省組でひとりだけ。ピラミッド型の官僚組織だからランクが上がる毎にはじき出される者が出る。


民間会社だったら、グループ会社という受け皿がある。官僚の受け皿は天下りとなる。先週から今週にかけて文科省から大学に天下りしたからくりが暴露されて大きな問題になっている。報道されるのを見聞すると、天下りがすべて「悪」のような報道ぶりだ。わずかな勤務日数で多額の報酬ばかりが浮き彫りにされている。



天下りは一律に悪いとは言い切れないと思う。官僚機構がいまのようであれ以上は、出世レースからはずれた者が必ず出てくる。そうした者の今まで培ってきた知見を必要とする企業や団体があるはずだ。省庁が許認可権を持っているだけに、それにむらがり甘い汁を吸いたがる企業・団体もある。


そこで、官民癒着が疑われないよう、透明性を持って行うルールを定めた。それを破り、こっそり裏口から入る脱法行為は許されない。関わった幹部らの責任は免れまい。ルールをきつくすれば、水面下でこそこそやる省庁の一家意識の強さがあらためてわかった。


官僚組織の根本的な見直しとか、天下りをすべてガラス張りにするといったような抜本的な対策の時期が来ているかもしれない。安倍さんが移民難民の受け入れについて世界に向かって大きな口が叩けないように、クマさんもこの問題についてはあまりえらそうなことは言えない弱みがある。


現役時代、地方の局から天下りで来られ、グループの会社のトップになられた方や、業界団体の事務方のトップになられた方に局との橋渡し役になっていただいたり、実務的な指導を多々受けてその恩恵に預かっているからだ。