瀬戸内寂聴さん


車のフロントガラスが凍りついていた朝も、日中は春のような陽気になった。「三寒四温」も「温」の領域に入ったようだ。こんな陽気になるのを待ち望んでいたが、果たして幾日続くだろうか?


中日新聞の夕刊文化欄。不定期だが瀬戸内寂聴が「縁の行方、今」というエッセーを書いている。きのうの夕刊に久しぶりに掲載されていた。94歳になるおばあちゃん相変わらず元気だ。左翼系の作家井上光晴とその夫人や彼の子の作家井上荒野との思い出などを書いていた。その中で、寂聴さんが出家するきっかけのひとつにこの井上との不倫関係の精算であったことなどもふれていた。



たまたま、カミさんの部屋に図書館で借りてきた本、瀬戸内寂聴著「老いを照らす」が置いてあったので拾い読み。この人、文化勲章までもらった人とはいえ、昔は不倫をして単なるポルノ小説の書き手ではないかという先入観がどうも拭い切れない。なのでじっくり読む気にはなれないのが半分、不倫を懺悔して出家したおばあさんがどんなことを書いているか興味が半分で拾い読みになった。


<トシをとるとホントに月日の経つのが早い>などということは、寂聴さんに言わせると「自分の歳を意識した瞬間に、その人は老人になるし、老いも早まる」らしい。「誰にも逃れることができない老いと死。せめてできるかぎり、美しく老い、美しく死のうではありませんか」と呼びかけている。


宗教観をベースに長い人生経験、とりわけ数々の修羅場を経験してきた人生観、情熱、で説得力がある。「金を取る宗教は偽物」という考えなど共感できることが多い。先入観だけで人を判断してはいけないということを、今更ながら痛感。