「冬の星座」あれこれ


昨夜からの雨がお昼過ぎまで続いた。最高気温が10数度で暖かな雨だ。この時季お定まりのパターンで雨の後の冷え込みは厳しくなるそうだ。これも、来たるべき春への試練だと思っておこう。玄関の花だけはすっかり春の装いだ。


冬は一年中でもっとも星空がきれいな季節といわれる。今月の3日の夜には宵の明星(金星)の大接近ということで、その写真をクマさんの日記にアップした。雨戸を閉めながら冬の夜空を眺めると、中学校の音楽の時間に習った「冬の星座」の歌詞の中にある世界が脳裏に浮かんでくる。また、この歌にまつわる数々の思いでが頭に駆け巡る。


「冬の星座」 原曲19世紀米国歌曲「愛しのモーリー」作詩堀内敬三 文部省唱歌

     木枯しとだえて  さゆる空より

     地上に降りしく  奇(くす)しき光よ

     ものみないこえる  しじまの中に

     きらめきゆれつつ  星座はめぐる


昭和29年に中学に入学したクマさん、戦後に文部省唱歌になったこの曲が新鮮に感じられた。いたずら盛りの時代だ。なにかあると、正座をさせられた。そんなとき、だれからともなく♪星座はめぐる と口ずさむのだった。


同年代の連中は、この歌はみな良く憶えていて、多治見の仲間のブログでもこの歌が話題になったことがある。歌詞の中の「ものみないこえる  しじまの中に」。これはいったいどんな意味かということだ。わけもわからず歌っていたんだなぁ。「人里も森や畑も静まりかえり、休んでいる」つまり「もの皆 無言で 憩える」なのだ。


ブログでの論争の結論はこうだった。文部省唱歌に「カネオクレタノム」式のものが多い。それは明治の初めに欧米に遅れまいと洋楽を教育に取り入れたが、作曲を勉強するのに時間がかかり、讃美歌や欧米の民謡をパクって日本の詩を貼り付けたのが文部省唱歌のはじまりといわれる。



また、この「冬の星座」のように終戦直後は軍国色を一掃するためにてっとり早く外国歌曲やクラシック曲からパクったものが選定された。堀内敬三ドボルザーク交響曲「新世界」の中から「遠き山に日は落ちて 星は空をちりばめぬ」ではじまる「家路」の作詩も手掛けている。


ブログでの多数派の意見はこうだった。そんな歌より、子どもがそんな歌をうたうもんじゃないと叱られた「はやり歌」の方がよっぽど意味がわかるし、うたいやすかった。「泣けた泣けた こらえきれずに泣けたっけ」「惚れて惚れて 惚れていながら行くおれは」「包丁一本  さらしに巻いて  旅に出るのも 板場の修業」