引き継ぎの流儀


最高気温が今年一番の20度。待望の春がきた感じだ。霞がかかったような春特有の日差しだ。寒の戻りはもうごめん。このまま、卯月(うづき 4月)皐月(さつき 5月)へと向かって進んでほしいものだ。ラジオ深夜便によると3月30日の今日の誕生日の花は大根の花らしい。


大根の花は目と鼻の先にある家庭菜園で、3月の終わり頃から6月頃までいつでも観察できる花だ。紫あり、白あり、黄色もある。家庭菜園で花の咲いている畑のオーナーは花を咲かせて種をとる几帳面な人と、大根を収穫せずに放置して咲き放題にしている呑気な人で両極端だ。普通の人の畑では花を咲かせることはまずない。収穫してしまうから。



大根は本来根がしっかりと成長してからでないと花が咲かないので、普通は花が咲く前に全部収穫されてしまうのだ。大根の種をまいて芽が出てきた時がたまたま寒い日で、その後急に気温が上がった時等に早めに花が咲いてしまうことがある。急に気温が上がると、大根がもう花が咲く夏になったと勘違いしてしまうのだ。だから大根の花が咲く時期は3月の下旬からから6月頃が多い。とプロの弁。


クマさんのような貧乏百姓は大根に花を咲かせないことに神経を使う。大根の花が咲くことをトウ立ちするといい、一度花が咲くとスが入って筋だらけになる。つまり、花を咲かせるために根に蓄えられていた栄養が、咲いたことによって失われてしまって食に適さないということだ。



年度替わりのこの時期、役員交代で仕事の引継ぎ時期でもある。同世代で組織する団体でのそれは、ほぼ前例踏襲で済んで行く。住民組織の中では、親子ほどの年代差のある同士でのそれも珍しくもない。いま、住民組織で我が子より若いような世代の人から今年度の引き継ぎを受けた。どうも、その方法に違和感があるのだ。


引き継ぎ文書類のデータをUSBメモリーに入れて事務所に預けたからもらってください。不足の分はメールをいただいたら、メールに添付します。顔を合せたのは、地域の人の葬儀のときに、たまたま会って、一言二言だけ。これだけで引継ぎが出来ないことはない。あまりにもビジネスライク、そっけない。


利益を出すことが至上の会社の流儀はそれでよかろう。地域住民の融和が主眼の地域社会だったら、ゆっくり顔を合せ、お茶でも飲みながら・・・。若い人には若い人の流儀があるだろうから、こちらの流儀を押し付けるつもりはないが、「効率第一」に追いまくられている彼らが気の毒に思える。