昭和の香り


きのうの爽やかな秋空から一転雲が低く垂れこめた重苦しい感じの一日。ラジオ深夜便によるきのう9月19日の誕生日の花はオミナエシ(女郎花)、きょう20日ヤブランだ。


オミナエシは山野に生え、7月初旬から10月初旬に黄色い清楚な花が咲く。秋の七草のひとつ。ネーミングは諸説あるようだ。「おみな」は「女」の意、「えし」は古語の「へし(圧)」で、美女を圧倒する美しさからが代表的な一説。また女郎花を古くは「おみなめし」と読み、へしは飯であり花が粟(あわ)粒に見えるのが女の飯であるという説もあるようだ。


ヤブランは日陰に生える。開花時期は7月下旬〜10月下旬といわれるが、我が家のウッドデッキの下では10日ほど前からやっと咲いている。



先日多治見での同窓会の二次会で居酒屋へ行った。ビールの自動サーバーが置いてあった。ジョッキをのせる底面の傾きが変わり、程よい比率の泡が生まれる。人の手と比べ遜色はないだろうが、やや寂しい。マスターがリズムよくナイフで泡を落として出してくれた一昔、ふた昔前の昭和の香りがする一杯には極上の味があった。


昭和の頃の中華料理屋では、景気づけに中国語が飛び交い、カウンターの向こうでは天井に届かんばかりの火柱を上げて料理をつくる職人の技や心意気みたいなものに魅入られたものだ。酒食を供する側の技の披露やいたわりも「おもてなし」の大切な一部だろう。



先日NHKニュースで放映していた。コンビニ最大手のセブンイレブンがオフィスや工場の休憩室に設置する自販機型のコンビニを新たに開発したという。先行しているファミリーマートは既に2100台余りを展開し、商品を取り出す際に、弁当やサラダがひっくり返らないような工夫がされているそうだ。


世の中、いまや「効率化」「省力化」が何かと迫られている。タッチパネルに手を触れることなしで日常生活は成り立って行かないような状況だ。そんな中、「三丁目の夕陽」世代は、タッチパネルを見るたびに恐怖感すら覚えるのだ。半世紀の歳月は、すばらしい科学的な進歩をもたらしたが、人の心の「ゆとり」みたいなものはむしろ退歩したのではないだろうか。