はしかい人


先週の金曜から5日間晴天が続いている。しかも、ここ2日ほどは小春日和が続いている。木枯しが空の塵まで吹き払ってくれるのか、この時期の青空は澄み切っている。その澄み切った青空に皇帝ダリアが、ナンキンハゼの白い実が、返り咲きのライラックが光輝いてウォーキングする人たちの心を和ませてくれる。


先週金沢に行ったとき、会話の中で久しぶりに「はしかい」という方言を聞いた。意味は「賢い」「利口」「要領がよい」という意味だ。「最近は、はしかい人間ばかりになって、日常生活をスマホひとつでなんでもこなしてしまう。ショッピングもバンキングもカーナビの代わりも料理のレシピも・・・無駄で価値のなさそうなことはなにひとつしない」こんな会話の中だった。



そう云われてみれば、日本全国供給者側は効率第一、消費者側は安くて良い品を、迅速に手に入れる。一億総「はしかい」供給者と消費者といえる。折も折、日曜日の中日新聞「中日春秋」欄で製造業で相次ぐ品質検査をめぐる不正に関し、この国は「頭のよい人」ばかり増えていないかと心配していた。


「中日春秋」いわく。「効率向上、納期厳守、収益拡大。会社にとって頭のよい考え方が幅を利かせ、品質第一、厳重検査の愚直さ、バカ正直さが笑われてないか。それは製造業にとって守るべき大切な心意気や魂であるはずだ。国際競争の厳しさがわからないではない。が、とどのつまりは世間を騒がせる。安心安全の日本製品のブランドを台無しにする。と。


「はしかい」人間が、とどのつまりは暗算ができなくなったり、漢字が書けなくなって来たという弊害を生み出したと同様に「頭のよい人」の考えが浸透した製造業では、相次いで品質検査をめぐる不正が起きている。そこで、クマさんは思った。品質検査で不正が起きているのは「頭のよい人」の企業ではなく「小賢しい人」の企業だろう。



一事が万事そうとは言い切れないとは思うが「小賢しい人」は、技術革新が日進月歩のこの時代に旧態依然とした検査基準をクリヤーすべく不正を行っている。「頭のよい人」だったら、「猫を追うより皿を引け」で検査基準を変えることに注力するのではないだろうか。


以前にもカキコしたが、これだけ車の性能がよくなったにもかかわらず、車検制度はほとんど変わっていない。何十万台の日産の車の出荷検査を正規の検査員が検査しなかったが、それによる車のトラブルが起きたことは聞いたことがない。社会情勢の変化に応じた憲法改正と同様に技術革新に応じた検査基準の改正。これこそが「頭のよい人」「はしかい人」のやることではないだろうか。