星野さんの運


きのう一日降った雨も上がり、意外と暖かな朝だった。昼ごろからは風が出てきて、晴れ間もあるがいつもながらの冬型の天気になった。晴れ間が出てくると同時に、待ちかねたように丘陵の尾根筋にある畑では切干大根づくりが忙しくなってきた。農家の方の話によると、みよしから刈谷にかけた一帯が切干大根生産の北限とか。この光景は三好丘の冬の風物詩だ。


本当に北限かどうか調べているうちにこんなことがわかった。切干大根のことを関西以西では「千切大根」といい、宮崎県が全国の9割を生産していること。江戸時代から明治になるまでは尾張物(愛知県産)が主流だったこと。


そして、天日干しの効能がどれほど大きいものだということもわかった。日光と風の力で水分を抜く天日干しをすることにより、栄養素や旨味成分の凝縮が起き、紫外線や酵素の影響も加わり栄養価がぐんと高くなる。乾燥の過程で糖化が促進され、甘味が増す。そうしたことを証明する実験データもあるそうだ。



星野仙一さんが他界した。ニュースのない正月だったので、評伝はさんざん報道された通りだ。クマさんの評価は何と運の強い、というよりむしろ運を味方につけることが上手い男か。ということだ。NHKの野球解説者から中日の監督になった時は、瓢箪から駒だったかもしれない。史上初の戦後生まれの監督だったから。


阪神の監督を引き受けた時も楽天の時もいずれも、ID野球で多くの選手を育てた野村監督の後釜(楽天は野村監督の後に1年だけ外国人監督がいた)だ。野村が種をまいて育てた後に行って星野が収穫しただけという見方もあるが、星野だからできた阪神のリーグ優勝、楽天の日本一だっただろう。



星野はタナボタの阪神楽天での優勝でなく、自らの力で運を引き寄せ、それを活かしての優勝だったと思う。手を変え、品を変えて運を引き寄せ、一旦運を掴んだらそれを逃さないで永続させる。勝負事とはそんなものだろう。力で掴んだ運と天から授けられた運の両方を備えた星野だった。


天から授けられた旅立ちのとき、何と運のいいときだっただろう。ニュースのない正月。NHKはトップニュースで扱った。貴乃花親方問題も正月休戦だからワイドショーも大々的に扱った。新聞も号外を出した。しかし、天は旅立ちのときを授ける月・日は良かったが、年を間違えたのでは。天でもフライングするときがあるのだろう。