五感で感じる「立春」


きのうの4日は二十四節気の「立春」だった。毎年のことながら、春の到来の待ち遠しさと期待をこの日に感じているものだ。そして、毎年唱歌「早春賦」の♪春は名のみの風の寒さや と日記に綴るのだ。今年は「立春寒波」とやらで、金沢では大雪のようだ。「こちらは、こんないい天気で金沢の人には申し訳ないねェ」とカミさんテレビを見ながらつぶやいていた。10年北陸で過ごした身から出た本音だろう。



暦の立春が実感とかけ離れているのは、暦では春分の日を中心にした3ヵ月を春としているから。夏は夏至を中心にした3ヵ月、秋は秋分の日を中心にした3ヵ月としているからこういう現象が起きるとお天気キャスターが語っていた。暦の春は春として、約2週間ぶりにウォーキングを再開し、自身が感じる春を見つけてみた。



万葉の昔から、春にはさまざまな木の花が咲くが、梅はその中でも一番先に咲く花としてもてはやされた。豊田・平芝の梅林公園では早咲きの種類が正月から咲いているが、わが生活圏でも数十本の梅の木がある舟ヶ峪(ふながや)公園でたった一輪だけが咲いているのをウォーキングの際見つけた。「梅に鶯」ならぬ「梅に目白」でお茶を濁そう。



立春」の声を聞きつけたのか、それとも体内時計にせかされたのか、寒風を遮る障壁みたいなものがある草むらでは、早春の野を染める愛らしい花、オオイヌノフグリの鮮やかな瑠璃(るり)色の花がまだ寒さに震えているようで精彩を欠いている。もう少し暖かくなれば、緑の葉とともに地面を覆うように広がると雑草とはいえ美しい光景だ。



路傍のオオイヌノフグリに対し、庭の縁石に守られたムスカリはやがては、鮮やかな青紫色のぶどうの実に育つ片鱗を覗かせている。丘陵の畑の片隅で、今年から樹高1mほどのロウバイがデビューしていた。寒風にさらされながらも、あの蝋細工のような黄色い花が三輪、四輪と咲いていた。年末以来最強寒波が波状的に押し寄せて来ている今年の冬だが、着実に春に向かっていることをこの五感で感じ取ったきのうの再開ウォーキングだった。