カタクリ


2日続きの夏日。車ではもうクーラー。まだ3月というのに、一足飛びに初夏が来た感じだ。けさのラジオ深夜便できょう3月29日の誕生日の花はカタクリと云っていた。カタクリのようなデリケートな花はこれだけ暖かな日が続くと、枯れてしまう。写真を撮るのは「今でしょ!」ということで、グラウンドゴルフ終了後に足助の飯盛山に出かけた。


カタクリの花は、足助・香嵐渓飯盛山の北西向き斜面0.5ヘクタールに群生地がある。ここでは昔から自生していたものを保護・育成した結果、現在の大きさになったという。昔は、カタクリの根が片栗粉の原料となっていたが、いまはじゃがいもやさつまいもにとって代わっている。



この花、3月下旬頃地上に姿を現して、薄茶色の紋様がある葉を出す。10数cmの花径の先に薄紫色の可憐な花が一輪下向きに約2週間咲く。花の姿が可憐で「早春の妖精」ともいわれる。ただ、非常にデリケートで、花びらは一日の中で気温が上がると開き、下がると閉じる。


雨や曇りの日・温度の低い日は1日つぼんだまま。そんな日は受粉を助けてくれる昆虫も活動しないためで、花を閉じたままで休養していると言われている。無駄な体力は使わないのだ。そして、5月頃に葉も枯れた後は、次の年の3月頃まで球根のまま休眠する。1年のうち2ヶ月働いて10ヶ月休眠とは、カタクリは我々に先んじて「働き方改革」をしているのだ。休憩中の駐車場のおじさんがざっとこんな説明をしてくれた。


早春の他の野草に先駆けて咲く花で、形といい色合いといい「春のはかない命」と云われるにふさわしい花だ。ひかえめにうつむきかげんに咲き、清楚な色合いのところなど、これぞ大和撫子と云った所だ。クリスマスローズに似た雰囲気を持っている。


昔は片栗粉の原料として球根が主役を張って、花は添え物だったカタクリ。時は流れで、今では花が主役を張り、球根は添え物。昔は塩の集散地として賑わった足助街道。時は流れて、今ではトンネルが開通してバイパスの国道が主役を張り、街道筋は文化遺産に。互いに似た運命をたどっている。