リラ冷え/台湾旅行 1

あさってから大型連休、気分的にも暦的にも初夏を感じさせるというのに、けさは冷え込んだ。グラウンドゴルフに行くにもウインドブレーカーを着込むほどだった。5日間とはいえ、台湾の熱帯性の気候に慣らされた身体にはちょっとこたえた。こういうのを「リラ冷え」というだろうか。


きのう4月25日の誕生日の花はライラックラジオ深夜便が伝えていた。北海道生まれの作家渡辺淳一ライラック並木が美しくなるころの冷え込みをフランス語読みの「リラ」を使って作家らしい上手い表現をしていると、パーソナリーティーが語っていた。わが家の庭にも3、4年前まで貧弱ながら白と紫のライラックが植わっていたが、今は影もナシだ。



九州とほぼ同じ広さの台湾を5日間で一周するツアーに参加した。同行者は16人。昨年北欧に一緒したご近所さんの麻雀仲間と二人で参加した。今年台湾を選んだ理由は、飛行機に10時間以上乗る欧米は、この歳ではきつい。3時間の台湾なら大丈夫。ふたりとも、かつて台湾は2度行っているがゴルフ中心で観光をしていない。そんな理由だった。


台北に到着して宿泊地は、西海岸沿いにバスで南下して、台中、高雄、東海岸に出て北上、花蓮そして台北だった。島の中央を南北に走る山脈には標高3千m級の山が連なる。この山脈を挟んで、人口も経済力も西高東低になっていることが、駆け足で回っただけでもよくわかった。西海岸沿いでは青空が見られない。スモッグだ。マスクかけた人が多い。東側は、気持ち良い夏空だ。



南国台湾といっても北の台北と南の高雄では気候が随分違う。西海岸の台南と東海岸の台東を結ぶ線上に北回帰線が通っている。(夏至の日に太陽がこの線上の真上に達し、これを北限として次第に南へ去って冬至になる)この北回帰線示す塔が道路脇に建っている。そして熱帯と亜熱帯の境でもあるそうだ。確かに、台南から南の高雄に向かうと街路樹が熱帯らしい風情だ。


台湾は中国との関係からいったら、「日陰の子」的存在だ。にもかかわらず、世界経済においてハイテク産業は日本のシャープを飲みこんでしまうほどで存在感がある。言論や報道の自由などは中国と比べたら比べ物にならない。現地ガイドの話を聞いて医療や教育は日本が見習うべきものがあると感じた。



5日間の旅行を通じて白人の観光客を見かけたことはほとんどなかった。観光資源が乏しいのか、PRが足りないのか、その辺はよくわからない。4泊したホテルのうち台北では、トイレットペーパーを流させない。ボックスに入れよという。そんな格安ツアーだともおもわないが、こんな状況の中に原因があるかもしれない。


東海岸台東市がある。この地の近くでアジアの歌姫テレサテンが育ったとのことだ。彼女、あれだけの才能がありながら、カーネギーホールにもロイヤルアルバートホールにも出演が叶わずアジアの歌姫で終わってしまった。シャープを飲みこんだホーハイなどハイテク産業は「アジアの・・・」の冠でなく「世界の・・・」だ。観光もテレサテンの上を行ってほしいものだ。