稲の花


東の空に陽が昇った。高い雲、秋らしい雲。爽やかな朝だ。そんな爽快感も束の間。陽が高くなるにつれてジリジリと照りつける。なんと厳しい残暑だ。年寄りは、熱中症が心配だから不要不急の外出はするな。と周りはいう。必要な用事もなく、急ぎの用事もないのが「サンデー毎日サンデー毎日たる所以じゃ」と云いながらも、8月は蟄居を決め込んだ。早く、秋が来ないかなぁ。



70数年この方、毎日米を食べ、毎年秋には稲穂を眺めながら稲の花なるものは見たことがない。稲の花のことなど考えたこともない。稲作に携わっている人以外は、大概の人がそうでないかと思う。きのう農道をウォーキング中に偶然、稲の花に出会った。新しい発見をしたようで、何だか嬉しくなっちゃった。不要不急の外出してこその発見だ。


農道をウォーキング中、田んぼの周囲を飛び交い羽根を休めるトンボの写真を撮ろうとしているとき、穂の出始めた稲に白いものがチラチラ見える。一瞬稲の病気でないかと思った。写真を撮って、ネットで調べたら、これが花だとわかった。稲の成長過程は概略次のようだ。


8月上旬に葉のサヤをわって穂が伸びてくる。「出穂」(しゅっすい)という。出穂が起き始めて2〜3日で,穂の全体が姿を現すと,穂の先端からイネの花が咲き始める。イネは天気の良い日の午前中に花を咲かせる。イネの花は,雄しべの花粉が風の力で運ばれて受粉が行われる風媒花で,しかも,雄しべの花粉が同じ花の雌しべに付いて受粉する「自家受粉」という方式だ。


イネの花が地味で目立たないのは、大きく目立つ花を咲かせて昆虫を集め,昆虫の力を借りて花粉を運んでもらう虫媒花と異なり、その必要がない風媒花であり自家受粉でもあるからだと云われる。 ガッテン。