フェルメールとムンク


「概ね晴れ」の天気と書くのは何と久しぶりのことか。日差しには夏の厳しさが残っているが、風には秋の気配が漂うちょっぴり厳しい残暑のハッピーマンデー「敬老の日」だ。


11年前’07年の9月14日の日記。<5人にひとりが65歳以上と言われるいまどき「高齢者を敬愛し・・・」どころではないだろう。「高齢者をどう面倒見て行くか」が深刻な問題である>


その6年後’13年9月16日の日記。<「65歳以上4人にひとり」の新聞の見出しを見てぎょっとした。65歳以上人口がわずか6年で5人にひとりから4人にひとりになったのだ。わが夫婦も、いつまでもこの世にのさばっていては若者に迷惑がかかるなどと思いを巡らせる敬老の日




その5年後今年’18年のきょうの新聞。65歳以上でなく「70歳以上5人にひとり」とワンランクアップの老人率に様変わりしている。ちなみに、いわゆる高齢者の65歳以上人口は07年20%が11年後の18年には28%になっている。100歳以上の人口は6.9万人で10年で倍増しているそうだ。


高齢者人口が増えるにつれて、そのまっだ中にいるクマさんも歳とともにその心境も変化している。5年前の日記では「若者に迷惑がかかる・・・」と殊勝な心掛けをカキコしていたが、今では動ける間にやりたいことをやっておかないと・・・その思いが日々増幅しているきょうこのごろだ。




土曜の中日新聞に東京の美術館鑑賞ツアーの広告が掲載されていた。上野の森美術館フェルメール展と東京都美術館ムンク展どちらも10月から2月まで開かれていて、両美術館を1泊2日で鑑賞するツアーだ。バスと新幹線のコースがあり、前者が3万円前後、後者が5.5万円。


フェルメール展の売りは所蔵するアムステルダム国立美術館が「疑問の余地なく当美術館でもっとも魅力的な作品の一つ」としている「牛乳を注ぐ女」だ。ムンク展の売りは何と言っても「叫び」でツアーの広告にもそれぞれの写真が載っていた。これらの絵が鑑賞ツアーが組まれるほど価値のあるものかと改めて知った。



というのは、3年前オランダ・ベルギーのツアーに参加した時たまたまツアーにアムステルダム国立美術館が組み込まれていてこの「牛乳を注ぐ女」を鑑賞した。女のスカートの色具合で差し込む光が上手く表現されているとの印象だった。退館してから現地ガイドから聞いた話では、画題を英訳すると「ミルクメイド」でそれはセックス対象の女性だそうだ。現地での画題は「台所女中」という案内だった。日本語訳では無難に「牛乳を・・・」になったそうだ。


昨年北欧4ヶ国のツアーに参加した時、オスロ市内観光の際オスロ国立美術館が入っていた。「叫び」はこの絵で描かれている人物が発しているのではなく、「自然を貫く果てしない叫び」に怖れおののいて耳を塞いでいる姿を描いたものとの説明だった。同美術館の所蔵品は「叫び」の油彩画でテンペラ画などがムンク美術館にあるとも聞いた。今回東京へ来たのはムンク美術館からのテンペラ画のようだ。



これほど有名な絵だからツアーのコースに鑑賞が組み込まれていただろうが、自分としてはたまたま参加したツアーでこれほどの名画が鑑賞できたのは幸いというか、「やったぁ」という気持ちか、嬉しくなってしまう。他人が聞けば他愛のないようなことでも、喜んでいることが健康寿命を延ばす妙薬のひとつだろう。