タイヤ脱落 左後輪ばかり


午前中に細かいにわか雨に時折見舞われたが、雲が広がりつつも鈍い日差しにも恵まれた、はっきりしない天気の一日。宇宙からの実験試料入りカプセルが回収されるといったような科学技術が進歩したこの時代に、こんなことがいまだに解明されていないのかと驚くことが、先週の新聞に載っていた。


5日の朝日新聞デジタル版の「トラックのタイヤ脱落急増 左後輪が8割強」との見出しの記事だ。大型トラックやバスのタイヤが走行中に外れる事故が6年で6倍強に急増し、2017年度は67件に上ったと云われる。冬タイヤの交換ミスが目立つが、脱落する8割強が「左後輪」に偏っているという。交換ミスは人為的なもので防げるが、なぜ「左後輪」に偏るかは未解明とのことだ。



大型トラックのタイヤは直径1m、重さ100kgにもなる。2017年度の内訳をみると、9割ほどが冬用タイヤの交換など着脱の3ヶ月以内に発生。約9割が、ボルトを規定値まで締め付けていないなどの作業ミスだったという。一方、不可解なのは2017年度の脱落事案の83%が左後輪に偏っている点だ。


その点について、記事では三点の見立てをしている。一つ目は、道路は一般的に中心部が高く、両端は低くなっている構造に起因する。車はキープレフトが求められていることから、左側のタイヤの負荷が大きいという点だ。二つ目は、左折時に左後輪がコンパスの針の部分のように回転しないままよじれてしまう点。三つ目は右折時の遠心力により、積荷の荷重が左後輪に偏る点だ。



「左後輪」の謎は未解明でも、日々の点検で脱落は防げる。確かにその通りで、点検・確認を怠らなければ悲惨な事故は防げただろう。かといって謎の解明が疎かになることは慎まなければならないと思う。はっきりとした、原因が把握できれば、確たる対策がとれるからだ。