酒酔いパイロットに思う


けさは各地で今シーズン一番の冷え込みを記録したとか。北海道でいまだに初雪がないのは観測史上はじめてなどと騒ぎ立てていたら、きのうからきょうにかけて札幌や旭川で降ったらしい。”自然”は律儀なものだ。心配しなくても、ちゃんと帳尻を合わせてくれる。あす22日の「小雪」に。


北海道に雪が降っても、ここ三好丘の里の秋は、モミジの葉っぱが緑から紅へのグラーデーション模様。高嶺公民館東の道路沿いの雑木林で真紅のモミジの紅葉は日当たりのよい部分に限られている。5年後には、紅葉の見ごろが12月になるかもしれない。



50年以上前のこと。金沢の会社に出向した際、任地の関係で最初の1年は小松に住んだ。航空自衛隊小松基地の近くのアパートだった。同じアパートに自衛隊パイロットの方が何人もいて、親しく付き合った。当時は東西冷戦時代で、昼夜を問わずソ連機に向けての緊急発進(スクランブル)があった。その都度彼らは呼び出され、迎えの車がアパートに来ていた。


彼等は休暇が連続するとき以外は絶対晩酌をやらないと云っていた。この国を守る任務を負っているから当然のことだ。彼等が異口同音にそう言っていたことが、半世紀以上経った今でも脳裡に焼き付いている。それにひきかけ、このところ明るみになった民間機パイロットのぶざまな行動は実に嘆かわしいことだ。



ロンドン発羽田行きJALの副操縦士がフライト直前に現地警察に捕まり、裁判にかけられた。酒臭さに気づいたバス運転手の通報で調べてみたら基準値の9倍超のアルコールが検出されたという。この件が報道されたら、ANAもLCCも次々と表沙汰になって報道された。しかも、車内のアルコールチェックが形式的でいい加減なものだとわかる映像まで流れた。


酒の臭いをぷんぷんさせながらコックピットに向かったその神経のずぶとさにあきれる。子どもの憧れの職業パイロットの矜持は一体どうなってしまっただろう。この際、エアライン各社ともこの不祥事の「酔い」が醒めるまで、じっとしておればいいというものではなく、各社の組織自体の「正気度」を世間に示してほしいものだ。