想定外が想定内に


朝から今にも降り出しそうな雲行き。日差しはなくとも、風もなく寒さを感じない。こんなにも似つかない師走風景をきのうから今朝にかけてテレビは映し出している。「それだったら、吾も・・・」と、グラウンドゴルフ終了後にウォーキングに出かけて、見つけたのが三好丘田園地帯の師走の風景三題だ。



先々週、羽田から福岡に向かったJAL最終便が、定員以上に予約を取るオーバーブッキング(過剰予約)が原因で欠航したことが話題になった。先週の朝日新聞デジタル版で実態を探っていた。それを読んで、呆気にとられた。JALでは、どの便も時間帯、曜日など過去数年分の予約実績に照らして分析しキャンセルを予想しているという。この日は定員375人に対し、401人の予約を受け付けた。だが、想定を上回る395人がチェックイン。さぁ、困った。


国内航空会社では、座席不足が発生した場合、当日の振替なら1万円、翌日以降ならホテル代と2万円の「協力金」で、乗客に了解を得て後続便に乗り換えてもらう制度を採用しているという。ところが、JALの問題の便では、「協力金」を増額しても振り替えに応じる客も少なく、すったもんだしているうちに、着陸地福岡空港の利用可能時間午後10時までには間に合わなくなってしまい、欠航が決まったという。



時代の先端を行く、憧れの職場のエアラインも現場の舞台裏ではこんな綱渡り作業が日常茶飯事となっていると思うと。幻滅を感じた。もっと工夫の余地があるのではないか。「過剰予約制度」をゼロから見直す。営業政策でこの制度を「リスク」と捉えるエアラインがあってもいいと思う。制度を維持するならAI時代のいま、もっときめ細かい設定ができるのではないだろうか。少なくとも最終便にはハイリスクにするとか。


エアラインの現場では、今や「想定外」が日常化して想定内になりつつある。パイロットの飲酒、過剰予約での欠航。まさかと思うようなことが、当たり前になったら企業は存続できなくなってしまうだろう。