英なきEU、出番はオランダ

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春に向かって順調に歩を進めていた陽気も、一歩後退で寒い朝を迎えた。グラウンドゴルフのウェアも冬用を引っ張り出す始末だ。「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」子規 彼岸の入りは来週月曜だから、この寒さも想定内としておこう。

 

英国がEU離脱問題で揺れている間に「これぞ勝機」とばかり「英なきEU」の主役に名乗りをあげた国がある。オランダだ。人口たった1700万人の小国だ。出るべくして出てきた国の感がある。3年半前にオランダ、ベルギーのツアーに参加して、オランダ在住歴30年のおばさん日本人ガイドが熱っぽく語ったオランダという国が思い出される。

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 オランダは他国で迫害された人々を受け入れることで繁栄してきた。アムステルダムはアンネフランクに代表されるように迫害された人々が安住した懐の深い街だ。何事にも寛容であることが最大の特徴。(鎖国中の徳川幕府キリスト教の布教活動禁止に対し寛容に応じて長崎出島での貿易を行い、日本に蘭学をもたらした例もある)

 

 現在ではその暮し易さのために実に多くの移民を受け入れている。 合法的に入国した移民については、オランダ語講習、社会化講習、就職相談をセットにした「市民化講習」を欧州諸国に先駆けて行うなどの移民対策を講じている。

 

このようにそれぞれの文化・国民性の異なった多くの移民を受け入れて一つだけのルールで縛るよりは一定限度の自由を認め、自由な一方で自己責任で行動しなくてはならない国にした方が国是に沿っている。そうしたことの延長線上に「安楽死・売春・麻薬」の公認があり、街に昔ながらのレンガ造りの建物もあれば自由な発想の奇抜な超モダンな建物が目につく。

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オランダの強みは宗教に縛られない貿易国として繁栄した歴史に根差す自由経済の伝統だ。EUでは、ルノー筆頭株主が政府であるように「国家主導経済」が伝統のフランスに英国が自由経済の旗手となってしのぎを削りながら米中からEUを守ってきた。

 

英国のドタバタをよそに昨年、英国からオランダへの移転企業が42社。約250社が検討中とのことだ。15年前エールフランス航空に吸収統合されたKLMオランダ航空をオランダに取り戻すべく2月末にオランダ政府は筆頭株主の仏政府に資本比率で並ぶだけの株を取得して、労組のスト、高コストで競争力を失っている仏側に構造改革を求めた。

 

EU離脱問題で揺れる英国、黄色いベスト運動で揺れるフランス、オランダのガイドさんが熱っぽく語ったオランダの出番がいよいよ回って来たか。「英なきEU」