鞘(さや)の収め時

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うららかな春の日だ。ようやく、この地でも桜が満開になった。一つの花にこれほど国民の関心が集まる、そんな国はめったにないだろう。きのうの名古屋鶴舞公園に続き、きょうは病院の検診の帰りに保田ヶ池公園に立ち寄り。この池は2004年にカヌーポロの世界選手権が開かれた場所。池の外周に約1kmの遊歩道があり、東端は桜並木になっている。

 

お昼前の公園、満開の桜の下の広場で体操をする集団、芝生の上で弁当をひろげる親子、遊歩道を散策するシニア夫婦、ベンチに腰掛け読書する女性。まさに平和な風景だ。

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満開の桜を観ると、つい写真を撮りたくなる。この美しさを自分が独り占めするのはもったいない。ブログを覗いてくれる人に、この美しさを伝えたいし、後世にも残しておきたいという気持ちがそうさせるのだろう。

 

カメラやスマホの無かった時代の先人たちは、その思いを七・五調のリズムに乗せて表現したということだろう。

 

世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし 在原業平

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塚田国交通副大臣は、道路整備に関して安倍首相や麻生副総理の意向を「忖度(そんたく)した」と発言した問題を受け、責任を取るとしてきょう辞表を提出した。同氏は福岡県知事選での応援演説で聴衆受けをする内容とするあまり、「両氏の地盤である山口と福岡を結ぶ道路の建設促進を両氏の口から云えるわけがないから自分が忖度して予算をつけた」旨の話をした。野党からは当然、与党からも「利益誘導」と非難を受けた。

 

かつて誰かの講演会でこんな話を聞いたことがある。真剣を使ってやる居合の稽古は、「刀を抜く時より鞘(さや)に収める時の方が難しい。心に揺るぎがあると自らの左手を切ってしまうから」と。 今の与党や官僚の間ではタブー視されている「忖度」という刀を抜いてしまった塚田氏。いつ、鞘に収めるか。そこが問題だ。

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野党は表向きには即辞任だと云っているが、本音のところは7月の参院選挙まで引っ張って、政権のマイナスイメージの象徴にしてダメージを与えたいのではないだろうか。政権側は塚田氏が何を言おうと自ら辞任の形をとって鞘に収めさせた方が、ダメージが少ないとみたのではないだろうか。

 

人生70数年やってると、物事始めるのは簡単だけど引き際が難しい。こんな経験幾度もしたなぁ。