名旅館のアキレス腱

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下界では猛暑日だの真夏日と騒いでいたが、ここ長野県の最北東、群馬県と境を接している高山村松川渓谷沿いの山田温泉は標高1000m近い。日陰に入るとひんやりとして心地よい。小学校以来70年来の付き合いある多治見の宝友会、今年のバス旅行はその山田温泉藤井荘だ。昨年中にメンバーの2人が帰らぬ旅に出てしまって、今年は男女合わせて16人の参加になってしまった。

 

いつかは訪れたい伝統の信州本格旅館 ~緑霞山宿 藤井荘。三方を山に囲まれ、眼下100メートルの松川渓谷に迫り出した山峡の湯宿だ。畳敷きの広々としたエントランス。つねにピカピカに磨かれ、ちりひとつ落ちていない、凛とした雰囲気が、名旅館であることを物語る。通されたラウンジ、180度の絶景が目の前に広がる。ウエルカムドリンクは和風旅館らしく抹茶にお菓子だ。

 

渓谷の緑一色の山肌を、部屋にも風呂にも、休みどころにも取り入れたすがすがしさは、すべてを清浄の境地に誘い込んでいく自然環境だ。静かな山間の夕げの部屋に、心地よく渓流の音がこだまする。“温泉の安らぎ”こんな言葉が脳裏をよぎった。ついつい、いつになく酒の量も進んでしまう。

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この旅館ではフロント、仲居などと呼んでいた従業員の呼称を「キャスト」に統一し「女将」は、「チーフコンシェルジュ」と称して客のさらなる快適な滞在のサポートする体制をとっているという。

 

渓谷の対岸の山に咲く花の写真を撮った。フジとタイサンボクの名前はわかっているが、名前のわからないものが2種あった。朝食のときにキャストさんに尋ねたが知らない。同僚にも尋ねていたようだが、わからなかったようだ。クマさんの快適な滞在のサポートにはならなかった。

 

全客室、風呂、休みどころもすべて渓谷の緑一色の山肌を取り込んで清浄の境地に誘い込んでいくのが、この季節のこの旅館の売りである。客の快適な滞在をサポートするキャストなら渓谷の新緑の中に咲く花の名前くらい勉強しておくのは必須だと思う。名前のわからない花の写真を旅館にメールで送った。いま、回答待ちだ。花の画像アップは後日だ。名旅館のアキレス腱はこんなところかもしれない。