蘇生拒否、救急隊の葛藤

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梅雨の中休みが幾日も続いたが、週間予報ではあすから1週間はすべて傘マークが並んでいる。台風が列島に向かっているようだ。せっかく実り始めたプラムや柿、桃などの実に被害が出なければ・・・。

 

疑われやすい行動はしない方がよいことの例えで「李下に冠を正さず」という警句がある。先週の金曜のウォーキングの際沿道の農家の庭先でプラムを収穫してきた。このプラムはスモモともいい、春、桜が咲き出すのとほぼ同じ時期に梅や桜に似た白い花が咲く。その実のことだ。酸味が強いことから「酢桃」となり、それが漢名の「李」の訓読みになったのだ。                                 

 

スモモの実を取るつもりはなくても頭の冠をいじっていると取ろうとしているように思われてしまうということだ。ウォーキングメンバーは農家の方の許しを得て収穫した。バラ科サクラ属。柿の実は1ヶ月ほど前にわが家の庭で花の写真を撮ったと思ったらもう実が出来始めている。

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森鴎外の短編小説「高瀬舟」を昔読んだ。病気の弟が自殺に失敗し苦しんでいるのを見ていられず、兄はその手で殺してしまう。そして、兄は殺人罪島流しの刑になる。その兄の境遇を護送する船の中で聞いた役人は「果たして殺人になるか」と疑いを残したまま舟をこいで行く。そんなストーリーだった。

 

渡辺淳一の新聞連載小説「愛の流刑地」を現役時代毎日読んだ。映画化されたものも見た。激しい情事の最中「殺して・・・」と彼女は何度もせがみ、主人公は夢うつつのうちに殺めてしまった。愛すればこその殺人は、正しい行為だったのか?「自分は選ばれた殺人者。だから彼女の為ならどんな罰でも受ける」と法廷で述べる主人公。

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上のふたつの話はフィクションの世界のものだが、現実に救急現場に携わる人たちにとっては深刻な問題のようだ。きのうの朝日新聞が伝えていた。自宅や施設で最期を迎える人が増える中、心肺停止になった際に家族らが119番通報して、駆けつけた救急隊に蘇生処置を断るケースが相次いでいるという。                   

 

その際、都市部の消防本部の25%がかかりつけ医の指示を取り付けるなどの条件つきで蘇生中止を認めていることが、朝日新聞の調査でわかった。中止容認に向け検討を進める本部もあり、広がりをみせる。だが中止について国のルールはなく、救命が使命と考える隊員は、ときに強く葛藤するという。

 

今月の初めのNHKスペシャル。安楽死が認められているスイスに渡った女性とその姉たちの心の葛藤のドキュメンタリーだった。その女性が語った願い。「私の選んだ道が日本での死のあり方を考えるきっかけになること」だった。彼女の願いが一石を投じたともいえる。世の中の動きに法整備が後追いをしているからともいえる。