みちのく紀行 1

f:id:mikawakinta63:20190715094423j:plain

梅雨の最中の「海の日」。この記念日とこの気候がどうもマッチしない。去年のように7月9日に梅雨明けでハッピーマンデーの16日が「海の日」ならしっくり来るのだが。おとといの土曜、庭の草取りをしていたらどこからともなくセミの鳴き声だ。     

 

今年のように梅雨明けが7月下旬にずれこむと、ひと夏に命を懸けるセミの苦悩も深刻だろう。湿っぽい空の下では羽化した羽を乾かすにも時間がかかる。声をかぎりに鳴いたとて、結ばれる相手はまだ土の下かもしれない。あの鳴いているセミは地上に出るのが早すぎたと悔やんでいるかもしれない。

f:id:mikawakinta63:20190715151348j:plain
f:id:mikawakinta63:20190715151321j:plain

 

毎朝5時からのNHKラジオの番組「マイあさ!」の中で「ふるさとマイ朝だより」というコーナーがあり、全国各地のリスナーが電話でその地のたよりを寄せる。一昨日の土曜の朝は北海道松前町のリスナーからのたよりだった。             

 

津軽海峡を挟んだ半島、北海道松前半島、青森下北半島津軽半島にはそれぞれ全国的に有名な郷土芸能がある。松前には民謡江差追分、下北には佐井村の漁師歌舞伎、津軽には五所川原・金木の津軽三味線郷土芸能トライアングルを形作って毎年持ち回りで、それぞれの地で合同発表会をしている。

 

 そんな内容のたよりだった。このうえない親近感を覚えた。それというのも、下北半島の佐井漁港やまぐろで有名な大間崎、津軽半島五所川原や龍飛崎のツアーから帰った翌朝の放送だったからだ。それが、どうした? それを言ったら身もふたもない話だ。こうしたことに感激しているから、長生きできるのだ。

f:id:mikawakinta63:20190715151744j:plain
f:id:mikawakinta63:20190715151757j:plain

 

 この数年間毎年一緒に旅行している麻雀仲間のご近所さんも今年84歳。2年前は北欧までご一緒したのに飛行時間が長すぎて体力的に不安とのことで、昨年は台湾。今年は国内にしよう。それなら地の果て感がある場所だ。この時期、飛行時間が1時間半前後、梅雨の影響が少ない所といえば、本州の北端津軽下北半島ということになり、9日に小牧空港を飛び立ち青森空港に向かった。

 

 

2日目下北半島、本州最北端大間崎に行った。幸い快晴。函館山から恵山岬にかけての北海道の海岸が目前に広がる。実物大のマグロ一本釣りのモニュメントもある。3日目津軽半島最北端龍飛崎に行った。日本海の海と丘の美しいビュードライブだった。青函トンネル記念館階段国道、龍飛崎灯台、「津軽海峡冬景色」歌碑など見どころ多数。薄雲がかかり、大間崎から見た北海道ほどの視界はなかったのが残念。

f:id:mikawakinta63:20190715152059j:plain
f:id:mikawakinta63:20190715152115j:plain

 

ヒット歌謡「津軽海峡冬景色」に綴られた現場を訪れ、現地では色々と社会問題を起こしていたことを知り、改めてヒットの大きさを知らされた気がした。「あの歌のおかげで青森は暗いというイメージができて困る」と青森商工会議所が作詞者の阿久悠に苦言を呈したそうだ。

 

また、大間崎が地政学的に本州最北端であるのに「津軽海峡冬景色」の歌詞の中で「ごらんあれが龍飛崎北のはずれと/ 見知らぬ人が指をさす」と表現しているので、本州北端の町としては面目まるつぶれ。                         

 

大間町議会では作詞者阿久悠に表現を変えるよう訴訟を起こすことを議決したそうだ。最終的には龍飛崎を指さして、北のはずれと云っているのは権威ある人ではなく見知らぬ人ではないか。ということになり大間崎に「ここは本州北端の地」の碑を建てて落着したそうだ。