北欧あれこれ


先週金曜の夜、町内のHさん宅で毎月第4金曜恒例の居酒屋ひだまりが開かれた。500円の会費、飲食物持寄り。毎回20人以上は集まってわいわいがやがやる。酒のサカナで北欧旅行の話が出た。わざわざ金を使って、10時間以上も窮屈な飛行機に座って、遠くに行って何が愉しいのか。などとそんな野暮な質問が出る。そこに北欧があるからだ。わかってくれないかなぁ。


広い北欧4ヶ国をたった8日間、実質6日間で駆けた旅行を語ることは、1本か2本の木を見て広大な森を語るようなことで至難なことだ。その1本か2本の木から見えてきた北欧を記録に留めてみた。



● 北欧4ヶ国皆異なる通貨/キャッシュレス化の北欧

フィンランドはユーロ(1ユーロ約125円)、デンマークデンマーククローネ、スウェーデンスウェーデンクローネ、ノルウェーノルウェークローネ(いずれのクローネとも1クローネ15〜20円)4ヶ国とも通貨がばらばらだ。日本で両替しておいてくれと添乗員から連絡があった。


物価高の北欧を見越して4種類の通貨の両替をして、国ごとに袋分けして持って行った。毎昼・夜食の個人払いの飲み物のビール大ジョッキ90〜100クローネ、中ジョッキ60〜70クローネ。ミネラルウォーター1本20クローネ。有料トイレ10〜30クローネだった。それら以外はカードを使った。

                                      
北欧諸国ではキャッシュレス化が凄い勢いで進んでいるという。若者は現金なしで生活しているとも云われているほどだ。どうりで、スーパーで土産物を買ってレジを観察していても現金を払う人がほとんどいないしホテルでミネラルウォーターを1本買うだけでもカードしか扱ってくれないところもあった。教会のお布施でさえ電子マネーだそうだ。


今回の旅行で大阪から参加した連中は(今回の旅行は大阪発組と名古屋発組がヘルシンキで合流した団体)関空の両替所では手持ちがなく両替できなかったそうだ。幸い、セントレアでは両替ができた。フィンランドを除いたスカンジナビア三国の通貨が日本で両替に不自由するというのは、キャッシュレス化が進んでいるところに原因があるようだ。



● 北欧人の暮らし

4ヶ国それぞれ現地に住む中年の日本人女性がガイドしてくれた。細かな点では各国相違点はあろうが、大まかなところで総合するとこうだ。各国とも学校は6〜8月が夏休み。教育費は大学まで無料。公立では入試はない。在学中の成績が査定される。医療費は無料。子どもが病気の場合父母で年60日まで休暇の取れる権利を共有する。


年収(所帯か個人かはっきりしない。多分所帯と思う)スウェーデンで600万円 ノルウェー750万円程度。税金はある一定額までは地方所得税30〜40%のみ、それを超えた分に対しては国に納める所得税50%がかかる。消費税25%(食料品、交通機関は率が低い)。60歳から年金支給される。ノルウェーの場合66歳になると掛け金の66%が戻る仕組みだそうだ。



4人の日本人ガイドさんは口を揃えてこの社会保障制度に満足していた。しかし、クマさんは思った。そんなに多く税金で持って行かれたら、一生懸命働いても仕方ない。国民の勤労意欲が低下しないだろうか。北欧全体がぬるま湯に浸かって”いい湯だな”なんてやっているのではないかな?アメリカンドリームみたいな志の高い人にとっては不満だろうなぁ。



● 4ケ国のうちノルウェーだけがEU非加盟のわけ

4ヶ国でフィンランドEUに加盟し、通貨もユーロ。スウェーデーンとデンマークEUに加盟し、通貨は独自のクローネ。人口520万人の小国ノルウェーEUに非加盟、通貨は独自のクローネ。「幸福な国」「福祉国家」など様々な世界ランキングでトップを飾る背景には、北海油田という豊富な石油・天然ガス資源があるからだ。            


「北欧」という一言でまとめられやすいが、ノルウェーは「石油資源でお金持ち」という点で、他の3国とは大きく異なる。また、400年にわたってデンマークに支配を受けた後にスウェーデンと連合同盟を結び約100年前にやっと自由を勝ち取ったことから「他国にコントロールされたくない」国民感情で、国民投票をしても非加盟が選択されてきたという。



英国と違って、中途離脱なんていう見苦しいことをしないノルウェーは立派だ。ただ、「いつまでもあると思うな親と石油資源」だ。賢いノルウェーだからそんなこたぁわかっているだろうな。なお、EU加盟でありながらデンマークスウェーデンが独自通貨を採用しているのはスカンジナビア三国通貨同盟は維持するという大義名分からのようだ。大国に支配されたくないというのが本音だろう。


ガイドさんの説明ではっきりしない点をネットで調べてこんなことがわかった。予めこれくらいの予備知識を持って旅行していたら、もっと充実したものになっただろうと悔やんでみたものの、時すでに遅しだ。