マナカが使えない愛環鉄道


天気図を見ると梅雨前線が列島と並行して居座り、まさに梅雨の最中といった感じだ。曇り空に時折鈍い日差し。蒸し暑い。「から梅雨だ、から梅雨だ」と騒いだが、ちゃんと本格的な梅雨がやってきた。


毎月最低2回は名古屋へ電車で出かけるので、毎度切符を買うのも面倒だから今年に入ってICカードのマナカを使うようになった。便利なことは分かっていたが、どこでどうやって申し込めばいいのかわからず、やっと腰を上げたのだつた。




日曜に多治見へ電車で出かけた。愛環鉄道の最寄駅の保見駅まで車で7.8分。保見から高蔵寺まで25分、高蔵寺から多治見まで中央線で10分。中央線は10〜15分間隔で走っているので1時間もかからない。その愛環鉄道ではマナカが使えなかったのだ。旧国鉄の落第生が第三セクターで蘇り中京圏交通の一翼を立派に担っていると思っていたが、やっぱり、田舎の電車かと落胆した。


1ヶ月ほど前の朝日新聞デジタル版に「三セク鉄道優等生愛環鉄道」として現状やら課題が載っていた。愛環鉄道岡崎と春日井(高蔵寺)45kmを結んでいる。2016年度の輸送人員が1711万人で開業直後の1988年度の4倍強になっているという。沿線のトヨタ系企業の業績が好調で通勤する従業員が増え、電車利用の割合も増えているためだ。



国鉄から三セクに転換したのは現在31社あり15年度決算で黒字だったのは愛環(8100万円)を含め5社だけだった。観光列車などで生き残りを図る三セクが多い中、通勤客に支えられている愛環は特異な存在だ。その背景には、88年に開業、1日の運転本数72本、1時間に2.3本程度だったのが、05年の愛知万博の会場への足となったことを追い風にして路線の3分の1を複線化したことだ。


少子化で学生の利用数が減っているものの、トヨタ系企業の業績好調と環境への配慮から電車通勤に切り替え。これに呼応して、新豊田三河豊田のシャトル列車や瀬戸口〜名古屋のJR直通運転などの企業努力が功を奏したのだろう。



課題は田舎の電車からの脱皮だ。中小鉄道ゆえの悩みは多いと思うが。全線複線化と車両の増強。全駅自動改札化(自動改札機がない駅は23駅中14駅。無人駅のため切符は降車時車掌に渡す。乗り継ぎの場合は車内で精算)。駅の賑わい化(売店があるのは23駅中新豊田だけ)。こんなことが課題だ。


現在でも、サッカーやコンサートで2万人3万人と観衆が集まる豊田スタジアムの最寄駅のひとつ新豊田駅だ。再来年19年のラグビーW杯開催時には、最低限交通系1Cカードの導入と名古屋新豊田間の直通運転くらいは実現してほしいものだ。