彼岸花あれこれ


真っ青な空、爽やかな風、いつもながらのウォーキング、路傍に小さい秋みつけた・・・彼岸花。だけど、たった一本だけ。やせこけて頼りなさげの花だった。いったいどこから来たのかな。そういえば、彼岸花の種って、見たことないぞ。


それもそのはず、この国の彼岸花には種がない。三倍体って、云うんだってさ。種なしスイカと同じ、人間がつくった、つまりクローン、大陸渡りのクローンがこんなに増えて秋の風情になった。


彼岸花。葉見ず花見ず種も見ず。(中略)それにしても独りぼっちのあの花は、いったいどこからきたのだろうか。



けさのウォーキングの際、路傍に1本だけ咲く白い(クリーム色がかった)彼岸花を見て、昨夜中日新聞の夕刊のコラム「夕歩道」に書いてあった一文が頭をよぎった。出だしの一節だけはクマさんの創作だが、あとはすべて新聞の記事のままだ。


確かに、彼岸花の種だの球根だの考えたこともなかったし、三倍体なんていう言葉も初めて聞いた言葉だ。せっかく小さい秋を見つけたのだから素通りせず、きのうの夕刊を引っ張り出して立ち寄ることにした。




まず、初耳の三倍体とは何ぞや?人間をはじめとする普通の生物は二倍体の生物。つまり染色体を2セット有している。二倍体は子どもや種子をつくるときには、オスとメスの2セットのうち1セットを持ち寄って、新たに子どもの染色体を2セットつくる。


植物に限定していうと、普通の二倍体の植物は受粉をしないと種子をつくれないが、三倍体の植物は生殖なしで自らのクローンの種子を作り出す。彼岸花セイヨウタンポポ、がその例。彼岸花は球根が人の手によって広がって行った。セイヨウタンポポは生き残るための超能力でクローンを作りだし、二倍体であるニホンタンポポを駆逐してしまっている。



彼岸花がどうやって広がって行ったか。彼岸花の球根は稲作とともに伝来したともいわれる。ヒガンバナの毒のある球根は、モグラ対策に効果があるので、水田の畦に植えられた。また毒抜きをすれば食べることもできるので、飢饉に備える意味もあったようだ。このような有用性から、人々の移動と共にヒガンバナは増えていったと考えられる。


彼岸花 葉見ず花見ず種も見ず」これは、何を言っているのか?彼岸花は9月中旬に開花し、晩秋に葉を出す。葉は冬中は姿が見られるが、翌春になると枯れてしまい、秋が近づくまで地表には何も生えてこない。つまり、花と葉が同時に出ることはない。そして種はないので見ることもないということだ。

中日夕刊に理科の勉強をさせてもらった。