寿大学

mikawakinta632007-10-16

老人クラブの寿大学第3回の講座は、午前中東海学園大学三好キャンパスで講話の受講と学園施設の見学。昼食は大学食堂の利用体験。午後はバスで移動して徳川美術館・徳川園の見学。
文化の秋らしい、薫り高い一日だった。  何度も行ったことのある午後の部より午前の部の方がインパクトがあった。
(写真は徳川園)


午前の部で日記に書き留めておくに値するような講話やら感想が二点ほどあった。
  
●その一

大学学監、田中祥雄氏の講話は興味深く聴いた。時の話題から学園のPRをまじえ本題へ入ってゆくあたりが心憎い。
先日亡くなった黒川紀章氏は旧制東海中学の卒業生。彼は建学の理念「共生」をその作品にそして選挙に出馬した時の党名までに具現化している。この「共生き」思想は仏教学者椎尾弁匡(しいおべんきょう)の宗教運動から始まり、この世の、人と人、人と自然などあらゆる存在は、たがいが支えあって成り立っているその仕組みのことをいう。


本題の人の命の大切さを深澤七朗の小説を引き合いに出して語りかけられた。高齢者虐待の例が姥捨て山で有名な「楢山節考」。生まれ来る命への虐待の例が「子消し」といわれる風習を語った「みちのくの人形たち」。
東北の貧しい村では、お産の際逆さ屏風を立てたときは産婆さんは子供を取り上げて「おぎゃぁ」と言う前に口を塞いでしまう。お産のうち8割は逆さ屏風だと言われた。ある産婆さんが亡くなる前に自分のしてきた行為に良心がさいなまれ両手を切断してもらった。これを供養するために人形に手のない「こけし」が作られるようになったという説があるそうだ。


●その二

近頃の大学生は、大学にとってお客さん。大学施設を見学させてもらった第一印象。自分の大学生の時から約半世紀。
戦後復興の最中で鉄筋コンクリートの校舎もあれば、寒風が入ってくるようなかまぼこ校舎もありの状態。
空調設備も整い、屋内プールまである。あの当時これだけ設備が整っていたらもっと勉強したのに・・・。
今の学生諸君、この環境が当たり前だというかもしれない。だが、今この環境でいられるのも先人たちが蛍の光、窓の雪で勉強をした。薪を背負って歩きながら本を読んだ。こうしたことも決して忘れないで欲しい。