師走入り

穏やかな天気の師走入り。三好丘丘陵地の荒れ果てた柿畑では朽ち果てた柿の木にまとわりついたツルウメモドキが天まで届く勢いでのびている。黄色い葉、赤い実、青い空のコントラストがいい。柿畑を取り巻く垣根のクチナシおせち料理の”きんとん”の着色用に間に合うように、時期が近づいたらちゃんと色づいてきた。

 



先日の中日朝刊「この人」欄に「人間ドックが病気を生む」という刺激的なタイトルの本を書いた人を紹介していた。
人間ドックは欠かさず受けていた著者、結果が出るまでは心配で半病人状態を繰り返していたほど健康には神経質だった。
59歳の時肺に影が見つかり、きつい精密検査をしたが結果は異常なし。


還暦を機に、これからは老化で「異常」は増えてくる。その度におびえる日々でいいのか。それなら痛い苦しい時以外は病院に近づかないことにして、健康診断の受診をやめたという。現在70歳。この著者、こう力説する。「現代人は病気にならないことが生きる目的になっているようだ。老化をあるがままに受け入れ、その一瞬一瞬を自分の目標に向け懸命に生きることが大切なのでは」


この著者、ある大学の学長。学者らしく理屈が先行している気がする。今自分の周りにいる人たちは総じて他人に迷惑をかけることなく終末を迎えることを目標としている。そのために、健康診断で老化したパーツを点検し、油を差したりパーツの交換をしたりするのだ。老体は痛くなったり、苦しくなってから病院にかかっても手遅れだろう。この人、健康診断の結果におびえ、半病人状態になるような精神力を養うことの方が先ではないかとさえ思う。