消えゆく生き物、出没する生き物


迷走台風5号の影響で時折小雨のパラつく不安定な天気の一日だ。週明けまでこんな天気が続くようだ。けさのこと、わが家から北にに700〜800m、刑務所手前の路上でたぬきが死んでいた。車が避けて通行していた。3月には、わが家の前の路上でやはりたぬきが・・・。


ことほどさように、この1,2年の間にわが家の周囲の自然界の環境が随分変化した。街中にたぬきが出没するようになった。一方で毎年この時節のウォーキング途上で見かけていたチョウセンアサガオが見られなくなった。夜に咲くあの神秘的なカラスウリの花も見られなくなった。山まゆも見られなくなった生き物のひとつだ。


けさのたぬきがきっかけになり、クマさんの日記を下敷きにして、わが家のまわりから「消えゆく生き物、出没する生き物」を特集して逐次アップすることを思い立った。きょうはその第1回目「山まゆ」。下敷きは2015年7月20日の日記。



林沿いのウォーキングコースの路傍の電柱に体長10cmほどの鮮やかなグリーンの虫が張りついているのではないか。カミさんが山まゆの幼虫だからと云って木の枝に戻してやった。変な虫ではなく、珍しい虫だったのだ。


「山まゆ」そのものはこの林沿いの道端で2度ほど見つけたことがあった。この幼虫と山まゆの因果関係がどうなっているか調べた。この幼虫が成虫になるとヤママユガという蛾になる。羽根を広げると10cmくらい。ヤママユガは卵で冬を越し、春、幼虫になって出てくる。幼虫の食べ物は、クヌギやコナラやシラカシなどの葉。                


夏の初め、幼虫は、葉をモリモリ食べ、7cmほどの大きさになる。(写真はこの状態)大きくなった幼虫はさなぎになるために体のまわりに糸を出し「まゆ」を作る。このまゆの中で、幼虫はさなぎになり、秋の初め、成虫になって出てくる。




去年の秋、老人会の旅行で信州岡谷の蚕糸博物館を見学したときに、この山まゆが展示、解説されていた。「山まゆ」は鮮やかな緑色をした繭を作る。繭一粒から得られる糸は長さ約600〜700m、1000粒で約250〜300g程度の絹糸が採取される。この糸は「天蚕糸」と呼ばれる。                                   


その希少性に加え、糸そのものの優雅な光沢や、軽くて柔らか、繊維の強靭さなど、優れた特長、価値をもっている。また、染料に染まりにくい特徴は、天然絹糸の美しさを際立たせ、まさに「幻の青繭」あるいは「繊維のダイヤモンド」といわれている。と。