週末議員


昨夕からの雨がきょうの午前中いっぱい降り続いた。久しぶりのお湿りだ。四つ池周囲の木々に潤いがもたらされ生き生きとしている。レギュラーメンバーでのウォーキングは中止になったが、わが夫婦だけはじっとしていられず傘さして歩きに出かけた。ムラサキシキブに出会った。もう、そんな季節なんだ。


6月の北欧旅行でのことだ。ノルウェーオスロからスウェーデンストックホルムまで500数十kmをバスで駆け抜けた。昼食はスウェーデン最大の湖ヴェーネルン湖畔のカールスタッドという市のレストランだった。人口8万人ほどの静かな街だった。日本人の現地ガイドによると、市議会も州議会も議員は全員無報酬でボランティア議員ばかり。議会は平日の夜に開くという。議員の4割は女性が占めるという。




ガイドはさらに付け加える。欧米の地方議会での議員無報酬は世界の常識だと云う。折も折、きょうの朝日新聞天声人語で伝えていた。議員のなり手不足に悩んだ長野県喬木(たかぎ)村が村議会の日程を一般質問は休日に、常任委員会は平日の午後7時からにする方針だという。子育て世代などが週末議員になれば、地方自治に新風だ。さて、「週末議員」が誕生するかと。


天声人語は税関勤めしながらの「日曜画家」からパリの画壇にデビューしたアンリ・ルソーを引き合いに出して、日曜画家ゆえに生まれたルソーの奔放さは、週末の仕事も侮りがたし。地方自治の現場はどうだろうと結んでいる。



喬木村の試みは「地方議会はかくあるべし」論がきっかけではなく、なり手がいないことがきっかけだ。だからといって、貶すつもりもない。このところの地方議会での政務活動費に関する不正の報道に接するたびに、暗澹(あんたん)たる気持ちになる。


高知県の人口400人の村では、村議会を解散して村民総会という直接民主主義を試みることが検討されているという。こんな時勢だ。喬木村の動機は問うまい。「災い転じて福」でもいい、「けがの功名」と云われてもいい。ぜひ、成功してほしい。「世界の常識よ」と同胞を見下したような言い方をしたスウェーデンの日本人ガイドさんを見返してやりたい。