見直される「義理チョコ」「恵方巻き」


立春寒波」が相変わらず居座り続けている。連日福井、金沢の大雪が報道される。第二の故郷と思っている金沢のことなると、日頃寡黙なわが夫婦にも会話が弾むようにになる。テレビに映し出される大雪を見て、「あの頃はあれぐらいの雪も日常茶飯事のような気がする。駐車場にかまくらを作って子どもたちを遊ばせたなぁ」などと・・・。


きのうのラジオ深夜便が2月6日の誕生日の花はヒメオドリコソウと伝えていた。2月下旬から5月頃までウォーキング中に空き地で必ず見かける雑草だ。よく見ると、葉は五重塔のように段々状だ。見方によっては菅傘をつけた踊り子の集団のようにみえる。そんなところからのネーミングだろう。明治時代に帰化したシソ科の外来種




二八(にっぱち)。昔から、どの商売も2月は寒さ・8月は暑さで客足が減り、景気が悪くなるところから、景気の悪い代名詞のように言われてきた。この二八を打開するために考え出されたキャンペーンがバレンタインチョコであり恵方巻きではないだろうか。


何事も「過ぎたるはなお及ばざるが如し」と孔子様がおっしゃるように、今年はキャンペーンを仕掛けた側、供給者側からこの過熱ぶりを自重する広告を出しているのだ。チョコレートのゴディバが日経に出した一面広告と、姫路を中心に店舗展開するスーパー、ヤマダストアーのチラシ広告だ。



ゴディバジャパンの広告を掲載したのは2月1日付日経朝刊14面だ。社長の署名入りのメッセージを要約すると「バレンタインデーは嫌いだという女性がいる。義理チョコを誰にあげるかを考えたり、準備したりするのがあまりにもタイヘンだからというのだ」などと切り出して、次のように訴えた。


「それは、この国の女性たちをずっと見てきた私達ゴディバも、肌で感じてきた。もちろん本命はあっていいけど、義理チョコはなくてもいい。いや、この時代、ないほうがいい。そもそもバレンタインは、純粋の気持ちを伝える日。社内の人間関係を調整する日ではない」と。 そして、次のように結んでいる。




「だから男性のみなさんから、とりわけ会社のトップから、彼女たちにまず義理チョコ、無理しないでと一言言ってあげてほしい。気持ちを伝える歓びを、もっと多くの人に楽しんでほしいから。そしてバレンタインデーをもっと好きになって欲しいから」と。


「義理チョコやめよう」。バレンタインデーの主役は「もらう人」でなく、「あげる人」ではないか。これがゴディバの広告に込めた思いだろう。「もらう側」である会社の上司や男性陣が読む日経に広告を掲載したのがにくい。



「今年は恵方巻きを昨年実績で作ります。欠品の場合はご容赦を」恵方巻きの大量廃棄が問題になる中、兵庫県姫路を中心に8店舗を展開するヤマダストアー。1日に出したチラシに、このような断り書きとともに「もうやめにしよう」と記し、「成長しなきゃ企業じゃない。けど、何か最近違和感を感じます」と続けた。


結果的には客からの苦情はなく、支持する内容の電話やメールが相次いだという。「消費者の意識が変わりつつあるのを実感した」とストアーの責任者は話していたという。


ゴディバの義理チョコもヤマダストアーの恵方巻きも奇をてらった巧妙な販促キャンペーンと捉えるか、経営者の良識から滲み出たアピールと捉えるか。人それぞれだろう。リタイヤーして10年以上、好々爺となったクマさんは素直に後者だと思いたい。