潜伏キリシタン遺産の世界登録


沖縄から北上中の台風6号とともに新しい週が明けた。きょう7月2日は「半夏生」(はんげしょう)。季節の移り変わりをとらえるために暦の上で設けられた夏至とか冬至などの二十四節気。それをより的確にとらえるために雑節がある。その夏至から数えて11日目にあたるのが「半夏生」。雑節の中でも格が上の方だとみえて、大抵のカレンダーに載っている。


この頃は梅雨の末期で、半夏(はんげ。カラスビシャクともいう)という毒草が生える時期、つまり「半夏生」といって、農家では田植えを済ませる習慣があったという。。「ハンゲショウ」のネーミングは葉が白くなって行く様を「半化粧」とする説と、花が咲き、葉が白くなる時期が暦の上の「半夏生」の頃だからという説があるのはこのような理由からだ。


それでは、なぜ葉が白くなるのか?理由は、昆虫に花のある場所を知らせるためだ。普通その役割をするのは花びらなどであるが、ハンゲショウは葉を看板にしているのだ。花が咲き終わって夏の盛りの頃になると、白い葉の白い部分は色落ちして、ふつうの緑色に戻るのだ。以上の画像と解説はおととしの緑化センター「季節の花めぐり」でのこと。



大学2年生の夏休み1962年(昭和37年)の8月こと。名古屋と四日市の友人3人で15日間かけて九州一周の貧乏旅行、いわゆるカニ族をやった。事前の計画もなく、ほとんど行きあたりばったりだったと思う。3人共通のねらいは、観光地は避け、人の行かない隠れた観光スポットだった。


5日目、長崎の茂木港から船で天草に渡る。海岸のキャンプ場で1泊して翌日バスと船を乗り継いで崎津の集落に着いた。こんな小さな集落に不釣り合いなキリスト教の教会。その裏山には日本式の石塔が並んだ墓がある。なんとも奇妙な取り合わせが強烈な印象として残っている。この時、初めて隠れキリシタンなるものの現実を目の当たりにした。




きのう、長崎とこの天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の世界文化遺産への登録が正式決定されたことが報道された。50数年前「隠れた観光スポット」を求めて旅行したのが、やっと報われた気がしないでもない。「やった!」という感じだ。長生きしてよかった。もっと長生きすれば、まだまだこんなことにめぐり会えるかもしれない。


きょうの中日新聞「中日春秋」もこんなことを書いていた。漁具や貝殻を祈りの対象に見立てるなど漁村特有の信仰形態が続いた崎津集落文化遺産。今後長く守り続けていく担い手を育てて行くことも急務だろう。伝え続ける力が再び必要である。と。