阻止できなかったかゴーン事件


里のもみじがまだグラデーションの段階といえ、そぞろ寒さのなか秋が深まってきた。火が恋しい季節だ。鼻水をたらしながら、パソコンに向かっている間に風邪をひいてしまった。あすは地域の忘年会。出席できるか心配だ。


日産ゴーン会長の逮捕劇、日を追うごとに背景が明るみになり、社会派サスペンスドラマの様相だ。逮捕時は破たん寸前の日産をV字回復させた名経営者が、どうして会社を私物化するような罪を犯したか。そんなことにメディアの報道は集中していた。それが、いまでは国際的社会派サスペンスドラマへと発展してきた。



ルノー筆頭株主である仏政府は、ルノーが日産株の43%を保有していることから、ゴーンをルノー最高経営責任者に続投させ日産を吸収合併させようと目論んだ。ルノーとの合併が決まれば日産は日本の企業ではなくなる。日産の経営幹部は、それを防ぐためにゴーン会長の不正を、捜査当局に内部通報した。


「事実は小説より奇なり」。第三者にとっては、安っぽい小説より面白い。今後の展開を想像するだけでも、ぞくぞくする。ゴーン側はどんな反撃に出るか。仏政府がどの程度の関わりをもって出て来るか。ルノー、日産、三菱の関係がどうなっていくか。などと興味は尽きない。



今回の事件は司法取引によって立件されたそうだ。今年の6月から認められるようになって二例目だとか。日本人はどちらかといえば潔癖症だから、「お前の罪を軽くしてやるから、本当のこと言え」などというようなことは馴染まないと思う。しかし、これも方便で仕方ないだろう。もろ刃の剣で、冤罪を生む危険もはらんでいる。


それにしても、もっとも初歩的な素朴な疑問だが、これだけのグローバル企業なら監査法人や取締役会がしっかり機能しているはずだ。それが、こんなことになるとはいったいどういうことか。それがわからない。