天国行きポスト

冬に逆戻りしたかと思うような一日だった。 それでも、午後から久しぶりに行った三好の図書館の横のお墓にある古い桜は今が満開で、ここだけは春爛漫の装いだった。 あいにくカメラを持たずで春爛漫の景色はおさめられず。


何気なくパラパラとめくった雑誌にこんな「お話」が載っていた。


 ある男性。亡くなったお父さんにどうしても言えなかった事があり、それが心残りでお父さんに手紙が出せないものかと
 思案した。 そこで、実家の住所に出してみてはと思い立った。


 その実家には、年老いた一人住まいの母がいた。そのお母さんは、亡くなったお父さん宛のはがきを、
 お仏壇の前で読まれる。いつしかこれが息子さんから毎日届くようになった。
 息子さんの心の中のワダカマリが、段々消えていく…。


 そして、このはがきを読むのが、このお母さんの生き甲斐になっていた。この話を聞いた、ある仏具屋さんが「これはい いことだ」と気づき、お仏壇の横に、「天国行き郵便ポスト」を作ってみた。
 このポストに救われた人が、いつしかたくさん出てきた。「天国行き郵便ポスト」とは。なんて素晴らしい。


なんとまぁ〜メルヘンチックな「お話」でないか。一方では、「赤ちゃんポスト」などといったトゲトゲしい現実があるかと思えば、この「天国行きポスト」のようなメルヘンの世界もあって、世の中のバランスが保たれているだろう。


                ◆ 私の好きな風景  掲載もれ分