女郎花(オミナエシ)

丘陵地の畑の片隅で10日ほど前から黄色い花が咲き出しその面積がだんだん広がってきた。けさ、カミさんに何の花かと尋ねるとオミナエシでないかという。オミナエシなら秋の七草のひとつでないか。秋の七草といっても、七草のひとつ葛は7月の終わりに咲いていたからそう珍しいことでもない。(7月22日のきょうの一枚の掲載)だが、そのオミナエシの目と鼻の先で稲穂が頭を垂れている姿と重ねてみると、いやが上にも秋の風情だ。

         


茎を高々と揚げ、黄色い細かな粟(あわ)のような花の上で虫がせわしげに活動している。この花が、重たそうに頭を垂れた稲穂の間を吹き抜けてくる風に揺れる姿は万葉の昔から変わらない秋の野の”もののあはれ”といったところだろう。


こんな清楚な花にどうして「女郎花」などとまるで「遊女」のような印象を受ける当て字をするだろうかとネット検索。
諸説ふんぷんだ。なるほどと頷けそうな説はこれだ。まず、「オミナエシ」という呼び方。「オミナ」は「女」の意。「エシ」は古語の「ヘシ(圧)」で美女を圧倒する美しさから来ている。「女郎花」の字。万葉の昔、「郎女」は「イラツメ」と読み、女性を尊敬してつけられた。字は逆になるが「オミナエシ」にはそのような意味があって「郎女」が使われた。


なんだか、わかったようなわからないような話だが万葉の昔からの伝説ゆえ諸説あって当然だろう。それが、また”もののあはれ”を盛り上げてくれる。