たえてさくらのなかりせば

午前中晴れ、午後花曇。

     「世の中にたえてさくらのなかりせば春の心はのどけからまし」 在原業平

この世界に桜がなかったら、きっと春の日々をのどかに過ごすことができたろうに。桜の花があるばかりに何かにつけて気が気でない。 彼岸が過ぎて10日もたてば霜注意報が出るような日があってもあちこちから桜の便りが届き始め、新聞の一面に夜桜の写真がでるようになってきた。


豊田高専桜並木 3/30 愛知少年院 3/31


今のように楽しみのなかった時代、平安貴族たちは風流心から冒頭の歌を詠んだものだが、今の世は風流心からではなく桜にかこつけて一杯やりたいのだろう。自分も在原業平と同じ心境だ。先日、カタクリの花を見に行った知人からは桜が咲いたら花見に連れてってと頼まれている。久しぶりに夕食を共にした知人からも同様の誘い。先日の土・日のひだまり喫茶の時にはAさんからもBさんからも誘い。


   四つ池 桜と柳の新芽 3/31

誘いや頼みをしてくるのは、全部おばさん。えらくもてるようだが、何のことはない彼女ら車を運転できないからたのんでくるだけのこと。桜の見ごろの日数は限られ、天気もいいとは限らない。あちらたてれば、こちらたたずでおばさんたちの嫉妬心は怖い。「・・・たえてさくらのなかりせば・・・」の心境だ。カミさんと二人で愛でる近くの桜が一番だ

 
       四つ池  3/31              愛知少年院3/31