さまざまな事思い出す桜


雲ひとつない青空、風も穏やか。田園地帯の上空にはヒバリがピーチク、パーチク。ラジコンのヘリがうなりをあげて舞っている。うららかな春の日となった。連日の寒風でご無沙汰していた野良仕事にも絶好の日和となった。四つ池周辺の桜も五、六分咲きでウチの南の遊歩道は日曜とあって家族連れで見物に行く姿が目立った。



買い物のお供のついでに豊田一の桜の名所、浄水町にある愛知少年院へ訪れた。ウチから10分もかからない。3年前一般公開され、その時に少年院の中まで入って花見をした。聞きしに勝る桜300本。その内100本は豊田市の名木指定。樹齢70年くらいのものばかり。きょうは高いフェンス越しに見るだけだ。どの木も貫禄のある老木ばかり。



一般公開のとき、係りの人から聞いた。この場所は旧海軍飛行場跡。昭和20年4月から6月までに3回ここから神風特攻隊が出撃し63名が若い命を落としている。今、少年院になっている場所は海軍の官舎、兵舎の一部。桜はその当時植えられたもの。潔く散る桜とここから出撃した若い命がはかなくも散っていった事実に因縁めいたものを感じる。


「さまざまの事おもひ出す桜かな」芭蕉  桜は、芭蕉ならずともいろいろなことを思い巡らせてくれる。