広島原爆忌


台風11号の影響か雲が多い。それでも厳しい暑さ。丘陵地の畑のあちこちで炎天下にもめげずに茎がよく枝分かれして茂り、球状の花を咲かせている”千日紅”だ。


きょう8月6日は広島原爆忌。きょうの広島原爆忌から終戦記念日までを中心に電波も活字も思い出したように戦争だ平和だと騒ぐ。いわゆる「8月ジャーナリズム」だ。結局は防災の日だとか交通安全週間と同じことだろう。日常生活に追われて普段ではあまり考える余裕もないようなことを何かのきっかけがあって考えてみるという点では意義があることだろう。


きょうの広島原爆忌にまつわる話。一昨年の春テニアン島へ行った。広島長崎への原爆投下機の基地があった太平洋上の島だ。テニアン島サイパンから南へ5kmの島。最近フェリーがなくなり6人乗りセスナ機で渡る。10分ほどで渡れる。現地のツアーガイドが自家用車で案内してくれる。ジャングルの中まで入るのでバスは入れない。このツアーガイドは60歳前後の日本人男性。正確に言えば鹿児島生まれの米国籍。グリーンカードを取得して米国市民権を得たおじさん。


B−29が原爆を搭載したピットを見学したときこんなことを語った。広島と長崎の原爆により日本は本来ならもっと長引く戦争から早く解放された。そして、朝鮮のように分断国家にならなくてすんだ。と。生粋の米国人が戦勝国の論理で語るのなら、そんなものかと不承不承ながら悔しさをかみしめる。ところが、彼は米国の市民権を持っているからと言って米国人ズラをして同胞に向かってそこまで言わなくてもいいものをと思いながら後味の悪いテニアンツアーだった。戦争さえなかったなら彼を憎悪することもなかった。彼を憎む前に戦争を憎むべきだ。




滑走路の端に50m位の間隔で二つのピット(深さ3mくらいのコンクリート製の穴)がある。一基は広島もう一基は長崎に投下した原爆をB−29に搭載したピット。防弾ガラスの覆いが被せてある。