啓蟄・珍客ムクドリ


きょう5日は冬ごもりしていた虫がはい出るころという二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」。今冬の厳しい寒さで近所のふながや公園やら豊田の平芝公園の梅の開花が大幅に遅れているが、なぜか既に平年より早くウグイスが鳴き始めたり、モンシロチョウやツバメが飛び始めたりした所もある。生き物たちは暦に先んじて動き始めているようだ。                              


ここ、三好丘丘陵地の荒れ地の土手のヒメオドリコソウ群生地も賑やかになってきた。草花が元気になれば「啓蟄」を待ちかねたように虫が姿を見せてくる。ヒメオドリコソウテントウムシがしがみついて微動だにしない。きっと、啓蟄で表に這い出してきたが、思いがけない寒さでじっとしているだろう。


暦が自然に裏切られることは、世の常だろうが近年それが激しいから、異変が起きることが異変でなくなってきているようだ。



地中の虫が這い出して来るのを待ちかねているのが鳥たちだ。きょうの「啓蟄」をまるで知った上かのごとく、ウチの庭の花壇の虫を狙ってかどうかは定かでないが、エサ場にムクドリが家族連れでやってきた。                                                 


ネットで調べると、このムクドリ、もともとは、農作物に害を及ぼす虫を食べる、益鳥とされていた。平均的なムクドリの家族(親2羽、雛6羽)が1年間に捕食する虫の数は百万匹以上と研究されている。当時害虫を1匹駆除するのに1円かかると言われていたため、ムクドリ1家族で年間に百万円以上の利益を国家にもたらす「農林鳥」とたたえられたほどである。そうだ。



その後、生息環境の破壊により都市に適応して大量に増殖すると、鳴き声による騒音や糞害などが、しばしば問題になっている。名古屋の地下鉄藤が丘駅周辺ではテレビでも放映されていた。


植物、それを食べる虫、さらにそれを食べる鳥というような食物連鎖というのか生態系というのかはっきり知らないが、自然界のつながりを改めて考えさせられた「啓蟄」だった。それというのも、珍客ムクドリのお蔭だ。