ご当地スーパーの逸品


♪ 薫風かおる春五月  桜並木にたたづめば   高校の生徒歌の一節だ。立夏をすぎて風薫る5月。はるかかなたから吹いてくる風は季節の前触れだ。日本には四季それぞれの到来をいち早く知らせる風がある。春は東風(こち)、秋は秋風、冬は木枯し、そして、夏は薫風。


薫風は南から吹く風。いまのこの時季、たしかに南から吹く風に乗ってくる甘い香りで部屋に居ながらにして初夏を味わうことできる。庭にあるジャスミン、八朔みかんの香りだ。ただ、きょうに限ってはきのう、おとといと違って暑さも和らいで過ごしやすいと思っていたら、午後からは北西の風が電線がうなるほど強く吹いていた。


春には「光の春」とか「風光る」と視覚的に形容する言葉があるが、立夏を境にして「風薫る」という嗅覚的に形容する言葉に変わってきた。薫風は木々を揺らし、若葉をそよがせて初夏から夏の色に染めてゆく。



格安海外旅行しか行けないわが夫婦、土産は決って宿泊地のスーパーで買う。その地の庶民の衣食の実態を垣間見ることができる。定番の土産物よりその国らしい商品を選べる。土産物屋に比べ掛け値がない。そんな理由からだ。


いま「日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品」とか「おいしいご当地スーパー」といった本が書店に並んでいるそうだ。日経ビジネスデジタル版にも連載され好評らしい。単身赴任していたとき以来、スーパーなんて縁がないものだから全国どこでも同じ品ぞろえだと思い込んでいたが、どうもそうでもなさそうだ。個性的なスーパーは地方の小規模チェーンに多いそうだ。灯台下暗し。認識不足だった。