紅葉 黄葉 ユズリハ

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今にも雪が舞って来そうな黒い雲と肌を刺すような冷たい風の金沢から戻った翌日の20日、こちらは抜けるような青空。豊田藤岡の緑化センターでは今年最後の「季節の花めぐり」。テーマは紅葉と黄葉だ。豊田の中心部から10km近く北上した地だけにすっかり色づいていた。



今年からこの催事の担当者が女性に変わった。毎回終了時にハーブティーを出したり、時季の木の実を出したり、テーマに合わせてワンポイント情報をプリントして配布してくれる。今回は紅葉のモミジを眺めながら♪秋の夕日に 照るやまもみじ と合唱させたりと色々と趣向を凝らしている。


年15回の催事で数年前から年に5、6回ヒマのあるときに参加している。参加者はせいぜい10数人だった。今回は20人以上でこんなに大勢のことは初めてのことだ。この担当者の地道な活動がこれだけの人を動員させたのではないだろうか。お役所仕事にこれだけ献身的になるのは珍しい。褒めてあげたい。



ユズリハだ。初夏に黄緑色の小さい花が咲く。夏に実がなる。次第に青くなり今濃い紫色になっている。新葉が生長して古い葉が落ち、新旧交代がはっきりしていることから「譲る葉っぱ」、それが「譲葉(ユズリハ)」になった。別名「親子草」とのこと。
 

このユズリハの木の前で担当の女性はみんなに詩の書いてあるプリントを渡して朗読を始めた。


          ゆづり葉    河井 酔茗

 子供たちよ。/これは譲り葉の木です。/この譲り葉は/ 新しい葉が出来ると/ 入り代わってふるい葉が落ちてしまふのです。

             (中略)
世のお父さん、お母さんたちは/何一つ持ってゆかない。/みんなお前たちに譲ってゆくために/いのちあるもの、よいもの、美しいものを/一生懸命に造っています。


今、お前たちは気がつかないけれど/ひとりでにいのちはのびる。/鳥のやうにうたひ、花のやうに笑っている間に/気がついてきます。


そして子供たちよ。/もう一度譲り葉の木の下に立って/譲り葉を見る時が来るでせう。


ユズリハの古い葉と新しい葉を重ね合わせて、作者は新しい世代の子どもに大きな期待を寄せている。これぞ、道徳教育の教材ではないか。紅葉狩りでえらい発見をした。