東京モーターショー


嵐が去って明るい青空が戻った。グラウンドゴルフに興じている公園の外周をマラソン練習の小学生たちが長蛇の列をなして駆け抜けてゆく。半袖半ズボン姿に違和感を感じさせないほど気持ちのよい天気になった。


もう、日没の時間が5時前になっている。紅葉の名所のモミジとは違って、寒暖の差も少ないウチの庭のモミジもまさに沈まんとする夕日に照らされた姿を見るとまんざらでもない風情だ。




東京モーターショーが開かれている。半世紀以上前の大学生の時、東京晴海の国際見本市会場へこのショーを見に行ったとき展示してあった一見アメ車かと思うようなプリンスセダンの鮮烈な印象がいまだに忘れられない。当時、クラウンはまだ観音開きのドアだった。ノックダウン方式でつくられたヒルマンやオースチンが幅を利かせていた時代だ。


東京五輪前で高速道路もなかった時代にまるでアメ車のような車が日本でもつくれる。日本の夜明けでないかとさえ思えるような印象だった。そのプリンス自動車もやがて日産に吸収されて行った。


車に関連してもう一つ強烈な印象を受けたこと。トヨタ・日産のコロナ・ブルーバード時代からカローラ・サニー時代に入って、日産のCMが「となりの車が小さく見えます」だった。日本人の美徳として、広告で具体的な名前こそ出さないが相手をけなすなんていうことは禁じ手だったと思う。それがアメリカナイズされた比較広告としていまだに記憶に残っている。


わずか半世紀あまりの間に車を取り巻く環境が大きく変化した。憧れ→ステイタス→実用品から車離れ現象が起きつつある。東京モーターショーの入場者数もこのところはピーク時の200万人の半数にも届かないそうだ。そんな折も折、もうひとつインパクトのあるCMがあった。車の高い性能やファッション性を印象付けるのが定番の自動車メーカーのCMが「車の免許を取ろう」と訴えているのだ。