アンコール!アンコールワット


3月も半ばを過ぎ、あさっては彼岸の入り。歳とともに手入れを怠って荒れ放題の庭でも、この時季ともなれば何となく春を感じさせる雰囲気が漂ってきた。ノースポールとリナリアが花壇で春の彩りを際立たせてくれ、梅が満開になって周囲を明るくさせている。


きのうの日曜、農道や畦道では”つくし”を摘む人達の姿が見受けられ、野にも庭にも春が来た感だ。


この週末、名古屋にとっては寂しい週末だった。北陸新幹線開業、ふたつの寝台列車のラストラン、上野東京ライン開業など華々しい鉄道イベントはカヤの外。オープン戦のドラゴンズも公式戦の始まったグランパスも勝てない。リニモの開業10周年じゃインパクトがない。先週に名古屋女子マラソンがあったでないか。どうやら、それで救われた。



アンコールワット旅行で、もうひとつ記録に残しておきたい遺跡がある。タ・プローム遺跡だ。シェリムアップの町からバスで40,〜50分北に行ったところにある。12世紀の終わりに建立された仏教寺院であったが、後にヒンドゥー教に改宗。




この遺跡は発見当時の景観を保存する方針で、本格的な修復がされず保存されている。しかし、近年巨大に成長したガジュマルの木に押しつぶされながら、かろうじて寺院の体裁を保っている。まさに、自然の驚異だ。


ガジュマルの木が蛇のように石に絡みつき、まるで石を食べる怪獣のようだ。ある種の”自然の芸術”とも云える。現在ここで議論が沸き起こっている。熱帯の巨大な樹木は遺跡を破壊しているのか、それともいまや遺跡を支えているのかという議論で、まだ結論が出てないそうだ。



この遺跡のもうひとつの特色は、砂岩が主とした建築材料となっている。建物自体が赤みを帯びた色に見える。そしてレリーフの彫りが深く、浮き上がって見えることだ。


あちこち海外旅行したけれど、カンボジャは初めてのビザ(入国許可証)が必要な国だった。それほど、なじみの薄い国と云うことだ。ミャンマーとかスリランカ並の馴染みの薄い国だ。カンボジャといえばかぼちゃが伝わってきた国、そんな予備知識くらいしかなかった。


アンコールワットの遺跡群を物見遊山で出かけてはみたが、世界遺産に登録されているだけあって、そんな浮かれた気分で見学してはカンボジャの先人クレール王朝文化に対して失礼にあたるような遺産ばかりであった。そして、ガイドの説明を聞くにつけ、ガイドブックを読むにつけロマンが深まるばかりのアンコールワットだった。「アンコール!」に値するアンコールワットだ。